Windows Meユーザーの3割がすでにWindows XPを購入。しかし,XPを確実に買うのは55.9%に留まる――IT Proが行ったアンケート「あなたはWindows XPを買いますか?」で,このようなWindows XPの購入動向が浮かび上がった。

 このアンケートは当サイト上で11月28日から12月6日までの約1週間,IT Pro会員の方を対象に行ったもの。1016人の回答を得ることができた。多数のご回答をいただきありがとうございました。回答者のプロフィルについては末尾をご覧いただきたい。

Meユーザーの3割が購入済み

 すでにWindows XPを購入したユーザーは20.1%にのぼる。利用OS別に見てみると,冒頭述べたようにWindows Meユーザーは3割近い29.6%がすでにWindows XPを購入している(図1)。これはXPのプレインストール・パソコンを買った場合,XPのパッケージを買った場合を合わせた数字である。

図1●利用OS別に見たWindows XPの購入率
利用しているOSによってWindows XPを買うか,買わないかの差が付いた。かっこ内は回答者数。以下同じ
図1:利用OS別に見たWindows XPの購入率

 これに対して,Windows 95ユーザーでは11.1%に留まる。Windows Meに続いて,XP購入率が高いのはWindows 2000ユーザーで22.1%。そしてNT4.0ユーザーの17.0%だ。このように使っているOSによって購入動向に大きな違いが出た。

 Windows Meユーザーに続いて購入率の高かったグループが,職種別で見た場合の経営者である。サンプル数は29人と少ないものの27.6%とこれも3割近くが購入している(図2)。他の職種ではコンサルタント,プログラマ,SEは17.9~18.8%で全体での購入率20.1%よりも低く,購入に慎重なようだ。

図2●回答者の職種別に見たWindows XPの購入率
回答者数は少ないものの経営者の購入率が高いのが目立った
図2:回答者の職種別に見たWindows XPの購入率

 業種では,通信事業者に勤めるユーザーの慎重姿勢が目立つ。他の業種では購入率は18.7~22.0%とあまり違いはないのだが,通信事業者だけが10.0%と低かった(図3)。

図3●回答者の勤務先の業種別に見たWindows XPの購入率
回答者数は少ないものの通信事業者に勤める人の購入率は他の業種に比べて半分程度だった
図3:回答者の勤務先の業種別に見たWindows XPの購入率

 対象パソコンの使い方では,あまり差は出なかった。もっとも高いモバイル用パソコンで22.1%,もっとも低い勤務先のパソコンで18.6%だった。

3分の2がPro版パッケージを選ぶ

 続いてWindows XPを購入した人が,どのタイプのXPを購入したのか見てみよう。Windows XPにはHome EditionとProfessinalがある。入手方法としては,XPプレインストール・パソコンを購入する方法とパッケージを購入する方法がある。つまり4タイプのXPがあるわけだ。

 このうち,もっとも購入されたのはPro版のパッケージ。購入者の64.7%が選んでいた。残りはほとんどHome Editionで,プレインストール・パソコンとパッケージでほぼ半々だが,若干プレインストール・パソコンの方が多い(図4)。

図4●購入したWindows XPのタイプ
全体とパソコンの利用場所別を示した。XPを購入した人の3分の2以上がProfessional版のパッケージを購入している。モバイル用パソコンについて回答した人に限ってみれば,Pro版のパッケージを選んだ人は4分の3にのぼる
図4:購入したWindows XPのタイプ

 Pro版パッケージをもっとも選択している層は,モバイル・パソコンを回答対象にしたユーザー層だ。8割近い79.3%がPro版パッケージを選択している(図4)。また,この層は全体と違って,Home Editionでもパッケージを購入している人の方が多い。パソコンは今までのものを使い続けていて,OSだけ交換した人が93.1%にのぼる。

 対象パソコンの使用場所について引き続き分析すると,勤務先を回答対象にした層はHome Editionを購入する場合は,ほとんどプレインストール・パソコンを購入している点も興味深い。

 モバイル・パソコンを回答対象にした層についで,Pro版パッケージを購入しているのは元Windows 2000ユーザーだ(図5)。これに対して,元Windows Meユーザーは,比較的回答者数が少ない(29人)がPro版パッケージの購入率は半分以下の48.3%に留まる。続いて多いのがHome Editionのパッケージである(37.9%)。Home Editionのプレインストール・パソコンは10.3%と1割に留まる。他のOSでは回答数が20人以下と少ない。

図5●以前使っていたOS別に見た,購入したWindows XPのタイプ
回答数が20人以下のOSは割愛した。回答者数は比較的少ないが,元Windows MeユーザーはHome Editionのパッケージを選んでいる人が全属性の中で飛び抜けて多い
図5:OS別に見た購入したWindows XPのタイプ

 回答者の職種で見てみると,SEがもっともPro版パッケージを購入している(図6)。逆に研究・開発職の人はPro版パッケージの購入率は他の属性に比べると低く,Home Editionのプレインストール・パソコンの購入率が比較的高い。

図6●職種別に見た購入したWindows XPのタイプ
回答数が20人以下の職種は割愛した
図6:職種別に見た購入したWindows XPのタイプ

 回答者の勤務先の業種別では,ユーザー企業に勤める層が特徴的だ。一番購入したのは他の属性と同じPro版パッケージだが,Home Editionの中でみるとパッケージよりもプレインストール・パソコンの形で購入している人がずっと多い(図7)。

図7●業種別に見た購入したWindows XPのタイプ
回答数が20人以下の業種は割愛した
図7:勤務先の業種別に見た購入したWindows XPのタイプ

16.2%の回答者は「XPは買わない」

 では,Windows XPをまだ購入していない79.9%のユーザーはいつ購入に踏み切るのだろうか? 回答者に購入予定時期を尋ねたが,もっとも多いのが「分からない」という回答で26.3%にのぼった(図8)。さらに注目すべきなのは,16.2%のユーザーが「Windows XPは購入しない」と答えている点である。結局,購入予定の時期として一番多かったのはパソコンを買い換える時の14.2%だった。

図8●Windows XPを購入する時期
回答者全体と回答対象のOS別を示した。いつ買うか分からないという人がもっとも多かった。Service Pack(SP)が出てからという人も1割いる
図8:Windows XPを購入する時期

 購入予定時期を「2001年12月31日まで」「2002年3月31日まで」「2002年12月31日まで」という選択肢も用意したが,これらの回答は合わせて11.1%だった。XPが出た直後に買わなかった人は,パソコン買い換えやService Packが出るといったイベントをトリガーとして,XPを購入しようとしている姿が浮かび上がる。

 全回答者から,買わない人,分からない人,未回答の人を引いた残りは55.9%。この数字はWindows XPをすでに買ったか,今後,買う予定の人である。言い換えると,XPを確実に買う人は6割に満たないのだ。

 この購入予定時期をユーザー属性別に分析してみた。LinuxやMac OSなど非Windows系OSを使っているユーザーで「XPは購入しない」が半数近いのは,当然といえるかも知れない。しかし,WindowsユーザーであってもNT4.0ユーザーの22.6%が購入しないと回答している。

 MeユーザーとWindows 98ユーザーとでは対照的な結果が出ている。Meユーザーは冒頭で述べたように3割近い29.6%が購入済み。98ユーザーでは同程度の27.2%の人がパソコンを買い換えるまで待つ。逆にMeユーザーのパソコン買い換えまで待つ人の割合と,98ユーザーの購入済みの人の割合は同程度である。すでにXPを買った割合と,パソコン買い換えまで待つ割合がちょうど逆になっているのだ。新しいものに敏感に反応するMeユーザーと,流行に左右されない98ユーザーと言ったら言い過ぎだろうか。

 今回のアンケートでもっとも回答者数の多かったWindows 2000ユーザーでは,「XPのService Packが出てから」購入する人の率がOS別の中ではもっとも高かった。Windows 2000ユーザーの手堅い姿勢をうかがわせる。

 購入率では属性ごとの違いが大きかった職種別で見てみると,プログラマがXPに慎重なのが目立つ。30.0%のプログラマがいつ買うか「分からない」としている(図9)。購入率がもっとも高かった経営者では,「分からない」と答えた人は購入率と同じ27.6%で,ちょうど二つに分かれた形だ。

図9●職種別に見たXP購入時期
企画・マーケティング,研究・開発,営業といった職種ではパソコンを買い換えるときという人が多い
図9:職種別に見たXP購入時期

 コンサルタントはService Packが出てから買うという人の割合が全属性の中でもっとも高かった。また2001年中に購入を予定している人が10.3%いて,具体的な時期で答える人が少ない中で目立った。自営のコンサルタントであれば,積極的には買わないが,年内に購入して2001年の経費にしようということだろうか。

 ユーザーの業種で見ると,購入率の低かった通信事業者に勤める層で,いつ買うか分からない人が42.5%いて,突出している。

図10●業種別に見たXP購入時期
通信事業者をのぞいては,おおむね似た傾向をしてしている
図10:業種別に見たXP購入時期

 また,ソフトハウスに勤める人は,パソコンを買い換える時よりもService Packが出るまで待つ人の方が多い。パソコンを買い換える時と答えた人は8.9%と,他の業種の半分程度だった。ソフトハウスに勤める人が業種別の中では,一番,XPを買わないと答えていることも見逃せない(18.7%)。

 自宅,勤務先,モバイルといった対象パソコンの利用場所ごとに見ると,あまり違いはなかった。

 ここまで,Windows XPについて,各属性のパソコン・ユーザーがどのような態度をとっているのか分析してきた。今回のアンケートでは,XP購入者層はXPのどのような点を評価したのか,また未購入層はどのような理由でまだ買っていないのかも尋ねている。こうした点について分析は,近日公開予定の記事でご紹介しよう。

回答者のプロフィル

 回答者のプロフィルを紹介しよう。回答の前提となる対象OSは,Windows 2000ユーザーがほぼ半分の512人で圧倒的多数を占める。続いてWindows 98 Second Editionユーザーが14.5%,Windows 98ユーザーが10.1%,Windows Millennium Edition(Windows Me)ユーザーが9.6%だった。

 回答対象としたパソコンを自宅で使っている人は45.7%,勤務先で使っている人は41.7%でおおむね半々。ほかにモバイルで使っているパソコンについて回答した人が13.0%いる。

 回答者の職種は,SEが31.5%と3分の1近くを占める。研究・開発(15.0%),企画・マーケティング(8.6%),プログラマ(6.9%),営業(6.9%),コンサルタント(3.8%),経営者(2.9%)と続く。その他の職種の人は24.5%いた。

 勤務先の業種は,システム・インテグレータとハード/ソフトのメーカー/ベンダーがそれぞれ19.0%で並ぶ。ユーザー企業も15.5%いる。ほかにソフトハウスが9.0%,通信事業者が3.9%で,その他の業種は33.7%だった。


(和田 英一=IT Pro編集)