豊田 孝

 本日は少し趣向を変え,インターネットを活用する際に便利なツールを1つ紹介しましょう。実は,これから紹介するツールは必要に迫られて自分のために作成したものなのですが,意外と便利なこともあり,皆さんに紹介させていただきます。

 皆さんは,インターネットをどのように活用していますか? もちろんいろいろな活用方法がありますが,インターネットから情報を収集する,ということがかなりのウェートを占めるのではないでしょうか?

 例えば分からない用語を調べたり,あるいはライバル会社のホームページを閲覧したりなどは,だれしも日常的に行っていると思います。私は職業柄本欄のような記事を執筆する機会が結構あるため,必要な最新情報をインターネットから積極的に収集しています。しかし,目的のページから公開されている情報を一読しただけですべてを理解できるわけではありません。ほとんどの場合,ブラウザ(私の場合はInternet Explorer)の「お気に入り」にそのページを登録しておき,後で再度目を通すことになります。おそらく,皆さんもこのような行為を日々繰り返していると思います。

図1●筆者の「お気に入り」フォルダ内容
 さて,皆さんの「お気に入り」にはどのくらいの情報が登録されていることでしょう? 例えば,私の「お気に入り」は図1[拡大表示]のようになっています。

 ご覧のように,私は多数のフォルダをそのつど追加作成し,その中に各種Webページを無造作に登録しています。これでは最終的に作成されるフォルダ数とそこに登録されるWebページは際限なく増加してしまいます。そして,登録された多量のWebページの中には,不要なものも出てきてしまいます。コンピュータの中にある不要なもの,それは,メモリーの浪費以外の何ものでもありません。これは気分のよいものではありませんが,しかし,多量の情報をいざ整理するとなると,時間もかかり,つい面倒になってしまいます。私などは「いつか必要なときが必ず来るはずだから」と,なかなか整理しようとしません。次に紹介するサンプル・プログラムは,私のような人間にはたいへんありがたい機能を提供してくれます。それでは早速紹介いたしましょう。

図2●処理が成功すると「OK!」と表示される

本日のサンプル・プログラム

 本日のサンプル・プログラムは,「お気に入り」フォルダの内容をHTMLファイルに変換するプログラムです。まずは,こちらからサンプル・プログラムをダウンロードし,次のような手順で実行してみましょう。

手順1:「C:\Favorites\No6」フォルダを作成する
手順2:ダウンロードした「ListFavorites.vbs」プログラムをダブルクリックする
手順3:図2の画面が表示されること確認する
手順4:「C:\Favorites\No6」フォルダの内容を確認する

図3●筆者の環境で作成されたHTMLファイル
 不幸にしてエラーが発生した場合には,返される単純なエラー情報を頼りにして「お気に入り」を整理し,再実行してみてください。また,手順1でフォルダ名「C:\Favorites\No6」を作成する際には,スペルミスなどをしないようにくれぐれも注意してください。本日紹介するサンプル・プログラムの改善バージョンを,以降の連載で紹介する予定です。私のWindows XP環境では図3[拡大表示]のような情報が格納されました。この情報は,次の構造になっています。

  • 「お気に入り」内のフォルダ名はすべてファイル名として使われている
  • フォルダ内の登録情報は,フォルダ名の入ったHTMLファイルに格納される

 以上から,例えば,「お気に入り」に100個のフォルダを作成している場合,100個のファイルが作成されます。「お気に入り」内容をファイルとして保存してしまえば,不要なフォルダは削除できます。だまされたと思ってぜひ実行してみてください。

サンプル・プログラムの機能と拡張のためのヒント

 本日のサンプル・プログラムはリスト1のようになっています。プログラム構造はちょっと複雑になっていますから,分かるところから調べてください。サンプル・プログラムは,プログラミング言語としてはVBSを採用しています。お時間のあるときに自由に変更し,機能を追加してみてください。

 サンプル・プログラム「ListFavortites.vbs」は,技術的にはWindows XPやWindows Server 2003の「名前空間」を応用しています。例えば,ソース・コード内では次のように「名前空間」が使われています。

Set instFolder = CreateObject("Shell.Application").NameSpace(6).Items

 「名前空間」とその応用の基本については,こちらを参照してください。なお,NameSapce(6)の6の代わりに,NameSpace("c:\ITPro\No6")などとフォルダ名を直接記述することも可能です。ただし,フォルダ名として,例えば,"c:\Windows\System32"などを記述すると膨大な数のファイルが作成される点に注意してください。もちろん,学習を積んで,“収集対象を絞り切る”技術を身に付ければ,このサンプル・プログラムだけでWindowsの世界を探検できます。

 収集情報はデフォルトでは,"c:\Favorites\No6"に格納するようになっています。格納先フォルダを変更したい場合には,フォルダ作成後,次のソース・コード行をそのフォルダに変更するようにします。

strBasePath = "c:\Favorites\No6\"

図4●Webページを自分独自の名前で登録する
図5●名前を登録後に,サンプル・プログラムを実行した結果
 最後にこのサンプル・プログラムの使用上のコツを紹介しておきましょう。図4[拡大表示]を見てください。

 この画面は,IT Proのアラン・ケイ氏の発言を紹介するWebページを「お気に入り」の「ITPro」フォルダに登録しようとしています。名前欄を見ると分かるように,私は自分独自の名前を入力しています。登録完了後,サンプル・プログラムを実行すると,図5[拡大表示]のような内容を持つ「ITPro.htm」ファイルが作成されます。

 このファイルには,アラン・ケイ氏紹介ページへの2種類の登録情報が含まれています。上の登録情報は,ページのタイトルに表示されている名前,下の情報は先ほど私が入力した独自の名前となっています。「お気に入り」への登録は必要だから行うものです。それなら,あとで検索が楽になるような登録の仕方をしたいものですね。

 本サンプル・プログラムが皆様のお役に立てれば幸いです。なお,プログラムの実行は自己責任とさせていただきます。

 本日は以上で終了です。次回またお会いいたしましょう。ごきげんよう!