矢沢久雄
●データベース管理システムの種類
市販のデータベース管理システムの中から,主要な製品の特徴を紹介しましょう。ここで紹介する製品のほかにも,DB2,Sybase,およびInfomixなどがあります。
Access |
米Microsoftが開発したデータベース管理システムで,スタンドアロン型やファイル共有型の小規模なデータベースに向いています。Accessだけで,データベースを操作するアプリケーションを作成することもできます。 |
Microsoft SQL Server (エス・キュー・エル・サーバー) |
米Microsoftが開発したデータベース管理システムで,大規模なC/S型のデータベースを構築できるものです。エンタプライズ・マネジャと呼ばれる管理ツールを提供しています。Windows NTおよびWindows 2000をサーバーとし,その上で動作します。 |
Oracle (オラクル) |
米Oracleが開発したデータベース管理システムで,大規模なC/S型のデータベースを構築できるものです。エンタプライズ・マネジャ(Microsoft SQL Serverの管理ツールと同じ名前)と呼ばれる管理ツールを提供しています。Microsoft SQL Serverと同等の機能を提供しますが,Windows NTやWindows 2000だけではなく,UNIXサーバー上でも動作します。 |
●データベース・エンジンとデータベース接続規格の種類
データベース・エンジンは,データベース管理システムが提供するものですが,同じデータベース・エンジンで異なる種類のデータ・ファイルを操作できるものもあります。これは,データベース・エンジンがデータ・ファイルの構造の違いを吸収し,アプリケーションから同じ操作で使えるようにしているからです。そのための規格が,いくつかあります。ここでは,主要なデータベースエンジンとデータベース接続規格を紹介しましょう。
Jet (ジェット) |
Accessが提供するデータベースエンジンで,MDBファイル(Microsoft Accessのデータ・ファイル)を操作するための機能を提供します。スタンドアロン型またはファイル共有型のデータベースで使われます。 |
ODBC (Open DataBase Connectivity) |
マイクロソフトが提唱するデータベースへの接続規格です。データベースのメーカーが,データベースの種類に応じたODBCドライバというプログラムを提供することで,アプリケーションからは統一的な方法でデータベースを操作できるようになります。クライアント/サーバー型のデータベースで使われます。 |
OLE DB (オーレ・デービー) |
マイクロソフトが提唱するデータベースへの新しい接続規格です。データベースのメーカーが,データベースの種類に応じたOLE DBプロバイダというプログラムを提供することで,アプリケーションからは統一的な方法でデータベースを操作できるようになります。スタンドアロン型からクライアント/サーバー型まで,あらゆる形態のデータベースで使われます。 |
MSDE (Microsoft Database Engine) |
Microsoft SQL Serverと互換性のあるデータベース・エンジンですが,小規模なデータベース向けとなっています。スタンドアロン型のデータベースをMSDEで構築しておけば,それを容易にMicrosoft SQL Serverを使ったクライアント/サーバー型のデータベースにアップサイジングできます。 |
JDBC (Java Database Connectivity) |
Javaのプログラムからデータベースに接続するための規格です。データベースのメーカーが,データベースの種類に応じたJDBCドライバというプログラムを提供することで,Javaのプログラムからは統一的な方法でデータベースを操作できるようになります。 |
●データ・オブジェクトの種類
アプリケーションを作成するプログラマは,データベース・エンジンを操作するためにデータ・オブジェクトを使うことが一般的です。データ・オブジェクトとは,データベースエンジンを操作するための関数と変数の集合体です。アプリケーションの中から,これらの関数を呼び出したり,変数を参照することになります。主なデータ・オブジェクトを紹介しましょう。
DAO (Data Access Objects) |
Jetを操作するためのデータ・オブジェクトです。 |
RDO (Remote Data Objects) |
ODBCドライバを操作するためのデータ・オブジェクトです。 |
ADO (ActiveX Data Objects) |
OLE DBプロバイダを操作するためのデータ・オブジェクトです。 |
oo4o (Oralce Objects For OLE) |
Oracleのデータベースを操作するための専用のデータ・オブジェクトです。オラクルが提供しているため,機能面や信頼性に優れていると言えます。 |
●おわりに
「すぐわかるデータベースの基礎」は,今回で最終回です。この講座で得た知識があれば,社内や客先でデータベースが話題に上がっても,もう尻込みすることはないでしょう。「何となく話題に着いて行けるようになった」と感じていただければ,それでOKです。これから先は,本格的なデータベースの解説書を読みこなすこともできるはずです。皆さんのご健闘を心よりお祈り申し上げます。ありがとうございました!