矢沢久雄

●データベースの実装形態

 この講座では,これまでにデータベースの概念的な説明をしてきました。今回は,実際のデータベースを構築するために,どのような実装技術があるかを説明します。

 まず,データベースの実装形態の種類を説明します。データベースの実装形態は,主に次の3つに分類できます。

・スタンドアロン型

・ファイル共有型

・クライアント/サーバー型(C/S型)

 スタンドアロン型(図1)は,1台のコンピュータだけで実現されるデータベースです。一人~数人のユーザーが同じコンピュータを共有し,ときどきデータベースを操作する,といった小規模な運用に向いています。ノート・パソコンを使えば,データベースを持ち運ぶことも可能となります。

図1●スタンドアロン型

 ファイル共通型(図2)は,1台のサーバー・マシンにデータ・ファイルを置き,そのファイルを複数のクライアント・マシンから共有するものです。データベース管理システムを構成するプログラムは,個々のクライアント・マシン側にあります。サーバー・マシンにあるのは,基本的にデータ・ファイルだけです。同じデータ・ファイルを複数の利用者が操作できますが,同時に操作できる利用者は一人だけです。クライアント・マシンのデータベース管理システムは,データ・ファイル全体にロックを掛けてしまうからです。

図2●ファイル共有型

 クライアント/サーバー型(図3)は,1台のサーバー・マシンにデータ・ファイルとデータベース管理システムを置き,複数のクライアント・マシンから同時にデータベースを操作できるようにしたものです。同じデータ・ファイルであっても異なるレコードであれば,複数の利用者が同時に操作できます。サーバー・マシンのデータベース管理システムは,レコード単位でロックを掛けられるからです。

図3●クライアント/サーバー型