すぐわかるデータベースの基礎（6）

第6回　SQL入門（その1）

矢沢久雄

2000.09.25

矢沢久雄

SQLとは？

　SQLはデータベース管理システムが提供するデータベース言語の一種です。SQLはISO（国際標準化機構）やJIS（日本工業規格）で規格化されています。つまり，SQLはデータベースの標準言語なのです。そのため，市販のデータベース管理システムのほとんどが，SQLを採用しています。

　SQLはStructured Query Language（構造化照会言語）が語源です。その語源が示すとおり，人間とコンピュータが対話するための言語です。ただし，BASICやC言語などのプログラミング言語とは，目的が異なります。SQLは，データベースのスキーマの定義と，データベースを操作する命令を記述するために特化した言語です。

　SQLで記述された命令をSQL文と呼びます。SQL文を解釈して実行するのは，データベース管理システムが提供するデータベース・エンジンです。データベースの利用者は，何らかのアプリケーションを使って，データベース・エンジンにSQL文を送り，データベースの定義や操作を行います。定義や操作の結果が，データベース・エンジンからアプリケーションに返されることもあります。

　例えば，この講座の第2回で紹介した電話帳データベースから，「井上太郎」の電話番号を取得するSQL文は，図1のようになります。このSQL文を実行した結果として，データベース・エンジンからアプリケーションに「03-1111-2222」という電話番号が返されます。

**図1●SQLでデータベースから電話番号データを取得する**

　図1を見ると分かるように，SQL文は英語に似ているので，構文の説明をしなくても，何となく意味が分かるでしょう。図1のSQL文は，「個人情報テーブルから（FROM 個人情報），氏名が井上太郎であるレコードの（WHERE 氏名='井上太郎'），電話番号フィールドを取得せよ（SELECT 電話番号）」という意味です。今回は基本的なSQL文をいくつか紹介します。何となく，意味がわかればOKです！

●テーブルの定義

　スキーマの定義には，スキーマ管理者の設定，テーブルの定義，ビューの定義，及び権限の定義があり，それぞれSQL文を使います。ここではテーブルを定義するSQL文だけを示します。図2は，個人情報テーブルを定義するSQL文です。INTは整数，NCHARは全角文字，CHARは半角文字を表わし，カッコ内は桁（けた）数を表わしています。