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Linuxコラム
第3回

大きな変化を見せるX Window System環境

サーバー環境として注目されることの多いUNIXにも,GUI環境を実現するX Window System(以下,X)というウインドウ・システムがある。元々,ワークステーションというカテゴリでビジネス分野では広く利用されてきたXは,Windowsよりも伝統のあるGUI環境なのである。しかし,ワークステーションは非常に高価なシステムであり,一般のユーザーにはなじみがなかった。現在ではクライアントOSと言えばWindowsと言う位,WindowsがGUIシステムの代名詞のような存在になっている。

しかし,最近のPC-UNIXの台頭により,UNIXをWindowsのようにGUIを前面に出したクライアントOSとして積極的に利用していこうという動きが活発になっている。

KDE(http://www.kde.org/)は,X上で動作するウインドウ・マネージャ(以下WM)の一種で,今までのWMになかったような様々な機能を取り入れて,非常に幅広いユーザーを対象にしたユーザー・インタフェースを実現している。一見すると,それがUNIXであるとは気付かないほど美しく,ほとんどの設定はGUIベースで行えるようになっている。

GUIの外観を決定付けるライブラリには,Qt Toolkit(http://www.troll.no/)が使用されており,Windowsを利用しているのとほぼ同じインタフェースを構築する事が可能だ。Qt Toolkitはフリー版も配布されているので,X Window System上でGUIプログラムを作成するときは試してみると良いだろう。X用のGUIライブラリには,ほかにもGIMP(GNU Image Manipulation Program)というグラフィック・ソフトで使用されているGTK(Gimp ToolKit)などがある。これらは残念ながら日本語対応ができていないため,GUIのオブジェクトに日本語を表示することができない。しかし,Qtは次期バージョンよりマルチバイト言語に対応する予定だ。GTKにも既に国際化対応のコードがソースに組み込まれている。今後,日本語環境については改善されていくだろう。

フリーのUNIXを利用して困るのが,フォントに関する問題だろう。フリーUNIXで利用されているXFree86プロジェクトの配布版のXは,フリーということもあり,あまりフォントの品質が良くない。日本語フォントとなるとさらに状況は悪く,印刷用途では,かろうじてVFlibを用いてTrueTypeフォントが使えるものの,Xの画面上ではTrueTypeをBDF形式に変換したフォントを利用するしかなかった。

そのような問題を解決するために,高木淳司氏が始めたX-V Project(http://karin.isl.titech.ac.jp/~takagi/X-VFlib/index.html)では,VFlibをXサーバーに組み込むことによってTrueTypeフォントを扱えるようにしてしまった。これによりNetscapeなどもフォント・サイズを忠実に再現できるようになった。

現在ではこの考えをもう少し進めて,フリーのTrueTypeフォント・レンダラであるFreeType(http://www.freetype.org/)をXサーバーに組み込むことによって,TrueTypeフォントをXから直接扱えるようにしたX-TrueType Server(http://hawk.ise.chuo-u.ac.jp/student/person/tshiozak/x-tt/)というプロジェクトも進行中だ(既にバージョン1.0がリリースされている)。いずれの場合もWindowsに付属のTrueTypeフォントや市販の物を使って,Xのアプリケーション上でTrueType環境を実現で きるが,TrueTypeフォントの中には特定のOS上での使用しか認めないライセンス形式の物もあるので,ライセンス内容をよく確認したうえで利用しよう。フリーのTrueTypeフォントもリリースされた

5月にはLinux用の初の日本語Office環境であるApplixware日本語版(写真C)が発売されることもあり,今年はX環境も大きな変遷の時を迎えることになる。筆者も今まではクライアントOSとしてのLinuxには懐疑的な見方をしていたが,そろそろ実用に耐える環境がそろってきたようだ。クライアントOSとしての性能を満たし,LinuxがWindowsに取って代わる存在となる日はそう遠くないのかもしれない。


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