Windows 10のアップデートが抱える3つの課題
2018年1月、ついにWindows 10のシェアがWindows 7を追い抜いた(StatCounterの調査による)。2015年7月のリリースから2年半、予想よりも早い普及状況と言える。その一方で、企業ではなかなか導入を進めるのが難しいとの声が聞こえてくる。
Windows 10では、それまでのWindowsシリーズと比べてOSアップグレードの方針が大幅に変更された。半年に一度、大型アップグレードである「Feature Update(以下FU)」がインターネットを通じて配信されるようになったためだ。
このアップデートによって最新の機能が使えるようになり、セキュリティ対策も強固なものとなる。ドッグイヤーとも言われるIT業界の技術革新スピードに対応するにふさわしい仕組みだが、社内システムの運用も大きな変更を求められることになり、それが導入に二の足を踏ませる要因の一つとなっている。
情報システム部門をはじめとするシステム運用側としては、新規技術の導入はありがたいものの、トラブルの増加は避けたいのが本音だろう。しかし現実に、Windows 10のFUでは避けられない課題がいくつかある。以下に、代表的な三つの例を示す。
一つ目が、配信されるアップデートファイルのサイズが3~7GBと非常に巨大であること。社内のPCが一斉に数GBものファイルのダウンロードを始めたら、その結果は目に見えている。あっという間に帯域がパンクし、ネットワーク遅延にとどまらず、社内システム全体が使いものにならなくなる可能性すらある。
二つ目がマスターイメージの課題だ。FUはOSの完全入れ替えと同様の状態になる。ある規模以上の企業では、マスターイメージを作って社内PCを運用していることも多いだろうが、FUのたびに毎回マスターを作り直さなければならなくなってしまうのだ。その検証作業や、過去のマスターの管理も大きな手間となる。
三つ目が、システム側で管理しなければ各PCがそれぞれ勝手にアップデートを行ってしまうということ。未管理の状態でアップデートを行ってしまい、いままで問題なく動いていたシステムにトラブルが発生、その対応に追われて本来の業務にまで支障をきたしてしまう事例も実際に発生している。
これらの課題を解決するため、Windows 10では従来からの運用方法を根本から見直す必要がある。