最後に,IPv6で新たに登場した新しいアドレスの一つを紹介しよう。
 
 IPv6では,通常インターネットにアクセスするために用いるアドレス以外にも,さまざまなタイプのアドレスをパソコンに割り当てて併用できるように工夫されている。その一つに,「リンクローカル・アドレス」がある。

 リンクローカル・アドレスは,ルーターを越えた通信では使われない特定用途向けのアドレスである。同じリンク上のコンピュータ同士が通信するためだけに使われる。

 リンクローカル・アドレスの特徴は,IPv6機器が自動的に生成するアドレスであること。どんな状態でも,IPv6機器を起動すればインタフェースにリンクローカル・アドレスが割り当てられる。グローバル・アドレスが割り当てられている場合も,リンクローカル・アドレスを必ず併用して使うことになっている。

 リンクローカル・アドレスは,特別な設定を施さなくてもIPv6機器が自らネットワーク設定を施す「プラグ&プレイ」に欠かせない。また,ルーター同士がアドレス情報を交換する場合にもリンクローカル・アドレスが使われる。