「NET&COM 2004」(千葉市・幕張メッセ)の「ネットワーク構築と運用」カンファレンスで,NTTドコモの尾上誠蔵・無線ネットワーク開発部長は、「W-CDMAのエボルーション『HSDPA』の最新技術動向」と題して講演を行った。

 HSDPAとは、High Speed Downlink Packet Accessの略で、高速パケット伝送技術の一つ。現在のFOMAが採用しているW-CDMA方式の次世代版で、通信速度は最大14.4Mbps(下り方向)だ。

 HSDPAは、電波状態に応じて、変調方式や符号化率を最適化したり、複数ユーザーの中から無線状態が良好なユーザーのデータ通信を優先するなどのスケジューリングを行ったりして、パケット伝送効率を従来の3~4倍に高めている。

 尾上氏は、「HSDPAは、収容加入者数が3~4倍になる一方、装置価格のコストアップは数割程度で済むため、導入によるビットコストは3分の1以下になる」と強調。また通信速度も「現在のFOMAで100秒かかっている音楽のダウンロードなら、3秒で完了する」ため、ビデオ映像や音楽のストリーミングなど多様なサービスが考えられるとしている。

 「ちょうど昨日から屋外実験が始まり、基地局近辺で7Mbpsのスループットが得られるなど、さっそく良好なデータが得られている」(尾上氏)と語り、2005年の導入に向けて、順調に開発が進んでいることをうかがわせた。

(木村 亮=BizTech編集)