「NET&COM 2004」(千葉市・幕張メッセ)の「ネットワーク構築と運用」カンファレンスで、KDDIの重野卓 au事業本部1xEV-DO推進室長は、「CDMA 1x WINがもちらす携帯電話のブロードバンド化とその意義」と題して講演を行った。

 重野氏は講演で、同社が2003年11月からサービスを始めた、高速パケット通信の専用規格「CDMA2000 1x EV-DO」方式を採用した第3世代移動通信(3G)サービス「CDMA 1x WIN」においてデータ通信料定額制(月額4200円でEZwebやメールが使い放題)を導入した意義について、「単なる使い放題にとどまらない」と強調。ユーザーの使い方が変わるだけでなく、コンテンツの形態や通信ビジネスまで大きく変わっていくと述べた。

 重野氏は、現在のユーザーの利用状況について、「ユーザーは、本当はもっと使いたいのに、データ通信料を気にして利用をセーブしている」と分析。さらに「現在の料金体系では、約3MBの動画や音楽を受信するだけで6300円もかかってしまい、現実的でない。データ通信料を大幅に下げなくてはサービスは発展しない」とした。

 そのうえで、定額制の導入により、「料金が気になるというストレスから開放される」。さらに定額制ならではのサービスが展開できるという。「例えばADSLの定額制サービスでインターネットが使い放題になったとき、一番広まったサービスはなにか。それはネット・ショッピングだ。このように、料金が気にならなくなって初めて利用するサービスがある」。

 「それだけでなく、コンテンツ製作者側は、容量が大きなコンテンツも気兼ねなく作れる。コンテンツの提供方法も、従来のオンデマンド型から、テレビ番組を予約録画するように、定時に配信するプッシュ型や、ニュースなど常に最新情報に更新するバックグラウンド型も考えられる。これまでの“使うケータイ”から、“メディアとしてのケータイ”になる」と述べた。

 最後に重野氏は、「常に携帯している携帯電話が、常にネットワークに接続しているようになるということは、家庭や企業の固定通信と組み合わせて使うことで、携帯電話機がデジタル家電や企業アプリケーションのコントローラになるということだ」と将来を展望して見せた。

(木村 亮=BizTech編集)