NTTデータと仏キャップジェミニは7月19日、グローバル市場における業務提携を発表した。両社は今後、日本および欧米市場でお互いの顧客を優先的に紹介し合い、コンサルティングやシステム構築などのサービス提供で協業する。NTTデータはキャップジェミニの日本法人である日本キャップジェミニ(東京都港区、印藤公洋会長)の発行済み株式の95%を8月12日付けで取得する。

 今回の提携はNTTデータにとって、海外事業の強化と国内での売り上げ拡大の2つの大きな狙いがある。海外事業では、世界30カ国、300拠点に広がるキャップジェミニのリソースを活用することで、NTTデータの顧客企業の海外拠点向けのグローバルサービス強化を目指す。今後NTTデータの顧客が欧米でのシステム構築や運用サービスを必要とする場合、優先的にキャップジェミニを紹介する。NTTデータの山下徹副社長執行役員は「グローバル展開したいという顧客に、ようやく自信を持って応えることができるようになる」と話す。

 国内事業では、これまでコンサルティングサービスの提供にとどまっていた日本キャップジェミニの顧客企業に対し、NTTデータがシステム構築を含むフルラインのサービスを提供していくことで、売り上げ拡大を目指す。さらに、海外のキャップジェミニの顧客企業が日本でのサービスを必要とする場合、優先的にNTTデータを紹介する。NTTデータにとっては、キャップジェミニが持つ戦略コンサルティングのノウハウを活用することで上流工程のサービスを強化する狙いも大きい。

 キャップジェミニは、2004年時点でアジア市場での売り上げがワールドワイドの1%にとどまるなど、日本市場におけるビジネス強化が急務で、今回NTTデータと思惑が一致した。提携には国内大手メーカーなど複数社が手を上げたもよう。仏キャップジェミニのメンバー・エグゼクティブ・コミッティのヘンク・ブローダース氏は今回の提携について、「強いパートナーと強い提携関係を持つ必要があった。日本市場で望みうる最強のパートナーを見つけた」と語った。

 NTTデータの投資額は、日本キャップジェミニの株式の取得と、仏キャップジェミニのコンサルティングノウハウなどの利用料を合わせ、四十数億円。日本キャップジェミニは今年8月をめどに社名を変更し、NTTデータの連結子会社として営業を継続する。7月中に、NTTデータとキャップジェミニ両グループの経営幹部による評議会、実務者レベルによる運営検討委員会を設置し、提携を推進していく計画だ。日本キャップジェミニの新経営体制は、キャップジェミニから1人、NTTデータから3~5人の役員を派遣する方向で検討を進めている。

【写真】左から仏キャップジェミニのメンバー・エグゼクティブ・コミッティのヘンク・ブローダース氏、日本キャップジェミニの印藤公洋会長、NTTデータの山下徹副社長執行役員。

森重 和春=日経ソリューションビジネス
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