利益確保に苦しんだソリューションプロバイダの状況は、前年度と比較できる155社(売上高100億円以上)の決算額の合計で見るとはっきりする。2004年度の売上高は前年度比1.4%と伸びながら、営業利益は同2.2%減、経常利益は同0.7%減に落ち込んだのだ。
もちろん、ソリューションプロバイダ各社の業績が一様に悪化しているわけではない。経営環境が悪い中、個別では好業績を上げている企業も多い。
例えば、前回と比較できる155社のうち、増収増益を達成した企業は黒字転換企業も含めて72社と、昨年の67社を上回る。これに対して減収減益企業は、赤字転落・赤字拡大企業5社も含めて33社と昨年の39社から減った。経営状況を改善させた企業の数は、前回より着実に増えている。
ただし、会社の売上高規模を問わず、勝ち組・負け組の2極化は鮮明になっている。例えば、売上高上位20社でも増収増益を達成したのは8社のみだ。
上位で好業績を上げたのは、キヤノン販売(売上高2位)やダイワボウ情報システム(同3位)、大塚商会(同4位)など。この3社の増収幅はともに7%以上で、増益幅も40%台~80%台と高い。3社ともディーラー系だが、一方で伊藤忠テクノサイエンス(CTC、同11位)や、富士通ビジネスシステム(FJB、同16位)などのディーラー系企業は減収減益に陥っている。
システム開発系のソリューションプロバイダでは、上位からNTTデータ(売上高1位)やCSK(同5位)、NTTコムウェア(同8位)、日立ソフトウェアエンジニアリング(同14位)などの業績悪化が目立つ。特に日立ソフトは大型不採算案件の発生などで、92億4600万円もの大幅な経常赤字に転落した。
一方で、同じ開発系でも、TIS(同12位)は増収・増益幅ともに2ケタ、新日鉄ソリューションズ(NSSOL、20位)は2.9%の減収ながら20.5%の経常増益と、好業績を上げている。
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