PHS事業者のウィルコムは7日、PHSの利用シーンを広げるための新たな端末戦略を発表した。今年11月をメドに、メモリカード並みに小型のPHSモジュール(縦42mm×横25.6mm×厚さ4mm)をパートナー企業に供給し、PHS機能を組み込んだ多様な機器の開発を促す。また、この端末戦略に賛同する企業で会員組織「WILLCOM Core Module Forum」を結成し、会員企業による端末開発やPHS活用ソリューションの提供を支援する。電機メーカーに加え、企業向けソリューションにPHSを活用してもらうべく、ITサービス業界にも参加を呼びかけている。ソリューションプロバイダでは、伊藤忠テクノサイエンス(CTC)、ネットワンシステムズ、大和総研などが、参加の方向で検討している。

 ウィルコムが11月にも供給するPHSモジュール「W-SIM」は、音声/データ通信の両方に対応し、最大通信速度は128kビット/秒。モジュール内にアンテナも内蔵する。このため、メーカーは、無線部分を全く開発することなく、PHS電話機やPHS対応PDA(携帯型情報端末)、データ通信専用端末などを開発できる。POS(販売時点情報管理)など、業務用機器にPHS機能を組み込むことも容易になる。W-SIMは抜き差し型のモジュールなので、ユーザーが場面に応じてモジュールを差し込む機器を変えたり、モジュールだけを最新のものに交換できたりする。

 WILLCOM Core Module Forumへの参加を検討しているのは42社で、ITサービス業では先のCTCなど3社に加え、NECシステムテクノロジー、NEC情報システムズ、アスキーソリューションズなどが含まれる。沖電気工業、シスコシステムズ、日本IBM、日本HP、日立製作所などのIT機器メーカーも参加を検討中だ。これらの企業が検討するビジネスはまだ公表できないというが、今後も広くIT業からの参加を呼びかける。また、マイクロソフトやACCESSも参加を検討しており、端末用ブラウザの供給で参画する公算が高そうだ。

 他の業界からは、京セラや三洋電機、東芝などの端末メーカーや玩具メーカー、IP電話事業者のフュージョン・コミュニケーションズ、広告代理店、デザイン事務所などが参加を検討している。

玄 忠雄=日経ソリューションビジネス
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