今年4月にトレンドマイクロ製アンチウイルスソフト「ウイルスバスター」のパターンファイル更新で大規模障害が発生した事件で、エバ・チェン社長兼CEO(最高経営責任者)は23日に会見を開いた。チェン社長は「大きな嵐だったが、雨が降った後に虹ができた。このような問題が2度と起こらないとは言い切れないが、起こさないためにベストを尽くす」と、再発防止を誓った。また、会見に同席した清水智Total Quality Management担当ディレクターは「今後、顧客に大きな影響及ぼすことはなくなった」と、一連の大規模障害問題について事実上の終結を宣言した。

 問題のパターンファイルの影響について、同社が開設した復旧窓口への問合せ件数は、5月9日から6月15日までの間に一般ユーザーからが2万8300件、企業ユーザーからが700件にのぼった。

 既存顧客のトレンドマイクロ製品からの乗り換えについて、マヘンドラ・ネギCFO(最高財務責任者)は、「個人の顧客の状況は分からないが、企業の顧客の解約については、パートナーからも聞いていない」と、企業ユーザー離れを否定した。また、販売計画の達成状況など業績についての影響について、ネギCFOは「8月3日に予定している中間決算発表で説明する」とコメントするにとどめた。

 同社は、7月11日からパターンファイルのデイリーアップデートを再開。中小企業ユーザー向けの対策相談などのサービスやパターンファイルの精度向上などパートナーとの協業を強化する方針を示した。

中井 奨=日経ソリューションビジネス
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