2005年5月1日、ボーランド日本法人の新社長に河原正也氏が就任した。直前まで籍を置いた日本ヒューレット・パッカード(HP)では、横河HP時代からのプロパー組幹部社員として、コンサルティング部隊やシステムインテグレーション事業などを率いた経験があり、中国など海外でのソフト開発にも詳しい。就任間もない河原社長に、今後のボーランドの方向性を聞いた。

◆ボーランドを、小さくても日本の勝ち残りに貢献できる企業にする。日本はハード製品で世界に冠たる輸出国になったが、今やその優位も薄れつつある。日本はソフト大国になるべきだ。携帯電話やカーナビ、アニメやテレビゲームなど、元気な産業はソフトに大きく依存するものばかりだ。人月単価を競うような形ではなく、新しい価値を持つソフトやコンテンツを次々に考え出せる国にならなくてはいけない。

◆日本のソフト開発人口は増えていないのに、ソフトの規模は拡大し続けている。だからこそ、海外の開発パートナーなど、色々なメンバーとの協調作業を可能にするプロセスやツール、手法が必要だ。現場のSEは今、本当に疲弊している。優秀な人ほど仕事が集中して忙しい。また、昨今増えている国際分業による開発では、同じ言葉でもとらえ方が違うといったことがミスを招く。精神論的で非科学的な面が強いソフトの製造プロセスを、科学的なものに変えていく。ボーランドの使命は、ここを支援することだ。

◆ボーランドにも課題がある。課題を抱える顧客に対して、長期的に働きかけるべきなのに、開発ツールを売るというベンダーの発想が強すぎることだ。これは社内の評価基準から変える必要があると考えている。今は四半期など、短い期間ごとにライセンス販売の成績を評価するといったやり方だが、こうした評価だけではコンサルティングなどできない。

◆ボーランドに来てから、「日本のユーザーの思いを、ボーランドの研究開発部門に直接ぶつけられる仕組みを作ってくれ」と大勢にリクエストされた。そこで、これまで日本法人の社長はシンガポールのアジアパシフィック統括責任者経由で本社とやりとりをしていたのを、直接本社にレポートするようにした。日本の新聞の切り抜きや顧客からのメールを印刷したものなど、武器になるものは何でも持って行き、机を叩いて主張した。今後も、どんどん机を叩くつもりだ。

佐竹 三江=日経ソリューションビジネス
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