フュージョン・コミュニケーションズとルクセンブルクのスカイプテクノロジーズが提携したことで、全世界で急速に普及している無料のIP電話ソフト「Skype」を法人向けのIP電話ソリューションに活用する環境が一気に整いそうだ。

 IP電話事業者のフュージョンは6月6日、スカイプとゲートウエイシステムの共同開発で基本合意した。フュージョンは今秋にも、自社のIP電話サービス「FUSION IP-Phone」と「Skype」の連携サービスを開始する。電話機(ハードフォン)を使うFUSION IP-Phoneあての「050-xxxx-xxxx」の発信を、Skype(ソフトフォン)に着信転送できるようにする。

 Skypeは一般のブロードバンド環境でも通話品質に定評があり、ビデオ会議機能などの強化も進んでいる。固定電話との発着信が可能になることで、ソリューションプロバイダが、ハードメーカーなどに依存しないソフトフォンとして自社ソリューションに活用できるようになる。

 ピア・ツー・ピア技術を応用したSkypeは、パソコン同士での通話のほか、固定電話などと発着信が可能な「SkypeOut」「SkypeIn」などのサービスも世界各国で始まっている。しかし日本では、固定電話などからの発信を受け取るSkypeInは、総務省が品質保証のないIP電話サービスには電話番号を割り当てない方針を取っているため、実現のメドが立っていなかった。

 今回、両社はFUSION IP-PhoneとSkypeを関連付けるゲートウエイ技術を共同開発する。あたかもSkypeが「050」番号を持つように利用でき、ハードフォンとシームレスに連携もできる。2社は既に技術の基本骨子を固めており、特許を出願中だ。ゲートウエイは、法人顧客などに販売する「宅内設置型」と、フュージョンが自ら運営しサービス化して提供する「セントレックス型」が考えられるが、提供形態は未定という。

 フュージョンの狙いはIP電話の使い勝手を高め、「会社あての電話を自宅などで受けられる」といった通話料の安さだけではないIP電話のメリットを、法人ユーザーに訴求することにある。総務省との折衝やスカイプとの事業面での協議を経て、フュージョンは秋にも商用サービスを開始したい考えだ。

玄 忠雄=日経ソリューションビジネス

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