NECは5月31日、Linuxなどのオープンソースソフトウエアを使ったソリューション事業や関連のサポート事業を大幅に強化するため、米JBossとミラクル・リナックス、米Twin Sun、SRAの4社と提携したと発表した。技術者レベルで情報交換したり提携先のリソースを活用することで、ソリューションの共同開発やサポート体制の大幅強化を進める。NECは今回の強化策に基づき、オープンソースを使ったシステム構築やサポート業務で、今後3年間で5億円の売り上げを目指す。またNEC系の販売パートナーに対しても、オープンソースを活用する際のサポート体制を用意する方針だ(写真は左からTwin Sunの松尾正信社長、JBossのマーク・フルーリCEO、NECの伊久美功一常務、ミラクル・リナックスの佐藤武社長、SRAの鹿島亨社長)。

 4社のうちJBossとの協業は、Webアプリケーションサーバー「JBoss」や「Tomcat」が対象。開発コミュニティの中核に近いJBossの技術者とNECの技術者が直接連絡できる体制を取り、NECの顧客サポート業務をJBossが支援する。2社による共同マーケティングも実施する。サポート業務の提供は7月から。また、ミラクル・リナックスとの協業ではLinux上で動作する、Windows互換のファイルサーバー「Samba」やWindowsとユーザー認証を統合できる「OpenLDAP」を低価格で導入できるソリューションを共同開発。このソリューションと合わせて、2社の協業に基づいた保守サポートや教育サービスを6月から提供する。

 Twin Sunとの協業では、同社がオープンソース・コミュニティに持つ強いパイプを生かしながら、共同でOSSに関するコンサルティング、サポートサービスを提供。さらに10月からは、24時間の保守サポートサービスを提供する。具体的には日中はNECグループが、夜間は米国の拠点でTwin Sunのスタッフが日本語で、顧客からの問合わせを受け付ける。また、SRAとの協業ではデータベース「PostgreSQL」を対象に、SRAが提供する技術者認定試験やトレーニングコースを7月から全国で展開する。

 NECは昨年5月にオープンソースのミドルウエアを使ったソリューション提供やサポート事業に着手し、これまでに延べ50本を販売している。今回の提携に基づき、今後3年間では500本を顧客に提供する計画だ。主な顧客層としては、「オープンソースを推進する官公庁や地方自治体、中小企業向けのソリューションなど」(伊久美常務)を想定しているという。

玄 忠雄=日経ソリューションビジネス

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