小型機器(トークン)を使ったワンタイムパスワードのシステム「SecurID」を中核に、様々なセキュリティソリューションを展開している米RSA SecurIDから、事業開発担当バイスプレジデントのデレク・ブリンク氏が来日した。今後のマーケティングや商品の戦略などについて聞いた。

◆昨年は新製品の投入で好調な一年だった。本来は外部から社内システムへのリモートアクセス認証に使うワンタイムパスワードのシステムだが、Windows対応版を開発したことで、社内のパソコンにアクセスするときでもワンタイムパスワードで認証できるようになり、当社にとって新しい市場が広がった。さらに米国では複数システムに1回のサインオンで接続できるシステムや、中堅・中小ユーザー向けにアプライアンス製品を販売するなど、新しい市場開拓にもつながった。

◆現在、さらなる市場を狙っている。それが会員向けにオンラインサービスを提供する企業に販売するものだ。具体的には、金融機関やインターネット接続業者、ポータル事業者などが、自社の会員向けに当社のSecurIDのトークンを渡して、セキュリティを強化するといった使い方になる。特に最近はネットを使った詐欺などが増えており、ユーザーIDとパスワードによる認証だけでは不安も残る。そこで当社のような新しい認証システムが求められるわけだ。

◆例えばオンラインサービス業者が、セキュリティを強化したい会員だけにトークンを貸し出せば、正しく認証できるし不正アクセスの防止につながる。米国ではインターネットサービスを行うAOL(アメリカオンライン)やE*TRADEといった機業が会員に有料でトークン提供するなど、トークンの販売個数が増えている。約30万個と大量に配布する大手企業もある。ワールドワイドでは年間で100万個が目標だ。

◆同様なオンラインサービス会社向けの販売プログラムを日本でも開始した。「オンライン会社向け認証強化プログラム」と呼んでおり、オンラインサービスに当社のSecurIDの認証システムを組み込めば、高度なセキュリティを会員に提供できるようになる。2005年内には5社に販売したい。こうしたトークンの配布はセキュリティの確保だけではなく、実はコスト削減にもつながる。ある大手企業はセキュリティのレベルが向上したため、クレーム対策やヘルプデスクのコストが大幅に削減できたという。今後ともパートナーとともに、ユーザー企業のセキュリティ対策を支援していきたい。

大山 繁樹=日経ソリューションビジネス

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