日本IBMは3月25日、z/OS向けの新ソフト2製品の出荷を開始した。メインフレーム向けのトランザクション処理(OLTP)モニターの「CICS Transaction Server for z/OS V3.1」と、Webアプリケーションサーバーの「IBM WebSphere Application Server(WAS) for z/OS,V6.0.1」である。両製品に共通するポイントは、メインフレームの既存資産を使ってSOA(サービス指向アーキテクチャ)を実現するための機能強化だ。山下晶夫ソフトウェア事業WebSphere事業部長(写真)は「新機能によりWebサービスで、メインフレームのアプリケーションと、Javaなどで開発した新しいアプリケーションとを連携させることができる」という。

 具体的にはCICSに、Webサービスのインタフェースを記述するWSDLファイルを生成する機能や、メインフレームのアプリケーションをラッピングしてWebサービス化する機能などを追加した。これまでは、ユーザー企業が特別なソフトと使うなどをしてWSDLを生成する必要があった。WASの新版は、「サービス」という単位に分割されたシステム同士をつなぐためのESB(エンタープライズ・サービス・バス)機能を備える。ESBに接続しているサービス同士は、通信プロトコルやデータの型を意識せずに連携でき、SOAの考え方を実現するための主要な機能である。オープン系OS用のWASでは一足先に実現していた機能を、z/OSでも使えるようにした。

 今回出荷したCICSとWASとを組み合わせることで、メインフレームでも容易にSOAを実現できる。CICSで既存アプリケーションをWebサービス化し、WASで動作する新規アプリケーションとESB機能を使って連携できるようになるからだ。山下事業部長は、「SOAを実現するためにシステムをオープン化するというのも、一つの選択。だが、処理量が非常に多いメインフレームシステムの場合、単純にオープン化するとパフォーマンスが維持できない。新ソフトを使うことで、メインフレームのパフォーマンスを維持しつつ、ビジネスに併せてアプリケーション変更できるようにしたいというユーザーの要望を解決できる」と話す。

 価格はWASが147万2000円から。CICSは月額料金制で1月当たり83万6000円からとなっている。現在、CICSユーザーは日本企業だけでも数百社と見られる。

鈴木 孝知=日経ソリューションビジネス

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