Web会議サービスを提供する米ウェブエックス・コミュニケーションズが、日本市場での販売を強化している。米ウェブエックスのアジア太平洋・日本マーケティングマネージャーのシェリー・チャン氏に、Web会議市場の動向や日本での販売戦略などを聞いた。要旨は以下の通り。

◆参加者がどこにいてもコミュニケーションが可能なWeb会議のサービスは、企業の効率や生産性を高める手段として、市場が急拡大している。調査によると、Web会議の市場は現在の4億3000万ドルから、2010年には、30億ドルに達すると見られている。当社の売上高は、2004年に前年比34%増の2億5000万ドルに達し、今では全世界に1万1000社の顧客を持つ。現在、当社のサービスを使って、世界70カ国で1日に平均3万件の会議が開催されている。

◆当社は、Webコミュニケーション向けに設計された専用のグローバルネットワーク「WebEx MediaTone Network」を使って、ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)型のWeb会議サービスを提供している。ユーザーはブラウザを使ってインターネット上のMediaTone Networkの接続ポイントにアクセスするだけで、信頼性が高く、高性能なサービスを提供可能だ。音声や映像、デスクトップアプリケーションなど共有するリアルタイムコラボレーションを実現できる。

◆事業活動の全サイクルを通じたコラボレーションを実現できるのも、当社のサービスの特徴だ。Web会議用のWebEx Meeting Centerに加え、営業部門の案件開拓のためのWebEx Event Center、営業活動のためのWebEx Sales Center、顧客や従業員のトレーニングのためのWebEx Traning Center、顧客サポートのためのWebEx Support Centerを提供している。ユーザー企業の既存の業務プロセスに、当社のサービスを統合できる。

◆日本市場では、NTTコミュニケーションズが当社のサービスを使ってWeb会議サービスを提供するなど、パートナーを通じた販売を強化している。現在の間接販売比率は約50%だ。今後は、新たな販売パートナーも開拓していく。ERP(統合基幹業務システム)やヘルプデスクシステムなど、パートナー自身が持つソリューションと組み合わせて当社のサービスを販売してもらえるパートナーを増やしていく。

◆2005年に当社は、ワールドワイドで前年比20~25%の売り上げ増を見込んでいる。現在、これまで中心だった米国市場に加え、欧州やアジア・太平洋地域の販売を強化している。日本市場では、国内に多数のオフィスを持ち、中国の製造拠点など、海外展開も進めている製造業などが、典型的なターゲットユーザー。日本では今後、当社のサービスの認知度アップに取り組み、今年は顧客数ベースで前年比倍増の販売を目指す。

(森重 和春=日経ソリューションビジネス)