NTTは2月18日、人間の体の表面を伝送経路にするネットワーク技術「レッドタクトン(RedTacton)」を開発し、同技術を活用するためのカード型送受信端末のプロトタイプを公開した。

 レッドタクトンは、人体の表面に発生する電界を使って通信を行う仕組み。送信側が体の表面に電界を発生させ、体の表面を通じて電界を受信機に送る。受信側に伝わった電界で結晶を変化させ、その変化の度合いを電気信号に変換する。

 レッドタクトンが搭載された端末を身に付けているユーザーは、レッドタクトンのある環境と、最大10Mbpsの速度での双方向通信ができる。また、導電体・誘電体であれば何でも通信媒体にできるのも特徴で、ガラスや衣服を通じても通信は可能だ。今後、利用者を自動的に認証するセキュリティシステムや、利用者の属性に合わせたサービスの提供など様々な場面で活用が想定できるという。

 NTTは、薬の誤飲を防止するためのレッドタクトン活用のデモを実施(写真)。レッドタクトンが搭載された携帯端末を所持する人が、飲んではいけない薬ビンを触った場合には、瞬時に薬の情報が携帯端末側に送信されて、警告を発せられる仕組みを披露した。

 NTTは、レッドタクトンの実用性を検証するために、共同フィールド実験に協力する企業や団体を募集する。実験は今年4月から9月にかけて行い、早ければ2006年中にも本格的な事業化に乗り出す方針だ。事業化が実現すれば、ソリューションプロバイダにとっても、新たなソリューションを提供するための商材として注目を集めそうだ。
(中井 奨=日経ソリューションビジネス)