サイボウズは、グループウエア「サイボウズ Share360 ver 2.5」を、1月13日から販売開始する。日本語と英語だけでなく、イタリア語、スペイン語、タイ語など計10言語に対応した“国際版グループウエア”として、世界に売り込む。Share360は「サイボウズ Office」の英語版として、米国で販売してきた。しかし、米国市場での販売は伸び悩み、米国子会社の清算を決めた。挫折を経て再び世界に挑む販売戦略を、サイボウズの青野慶久副社長事業企画室担当が語った。

問 米国子会社の社長に就任後わずか6カ月で清算したのは。

 2001年5月に米国・サンフランシスコに「Cybozu Corporation」を設立し、英語版Share360の開発や販売を展開してきた。ところが、米国はマイクロソフトとIBMの本丸で、市場は事実上2強状態だ。さらに、米国民は個人のスケジュールを他人に公開したがらない文化もあるし、大企業は全社的に情報システムを統制するため、現場単位にグループウエアが入らない。また、米国で知名度がない当社が、大々的にプロモーションを行うにはコストがかかり過ぎてできない。日本で成功したから米国でも、と思ったら大間違いで痛い目に遭った。

問 国際版グループウエアを販売するに至った経緯は。

 いきなり米国に進出したのは身の程知らずだった。だが、サイボウズのグループウエアを、世界中の人に使ってほしいという思いは、今も変わらない。実は、英語版Share360の既存ユーザー750社のうち、米国のユーザーは3割に過ぎないが、残りの7割の中には、中国やタイなどアジアの国の企業も多く含まれていた。そこで米国以外の国でも販売できるチャンスがあると見て、10言語対応のShare360を開発した。

問 世界を相手にどうやって売り込むのか。

 Webサイトからのダウンロード販売による直販だけでなく、世界中でShare360を販売してくれるパートナーを募集する。世界を舞台に、当社独自でプロモーションを展開しようとすると、コストがかかりリスクは大きい。パートナーによる口コミで、草の根的に製品が広がることを期待している。サイボウズ創業時の5800万円を上回る売り上げを目指す。

問 どんなパートナーを求めているのか。

 大手よりもむしろ小規模で地域に密着したソリューションプロバイダをパートナーにしたい。Share360の主なターゲットは従業員数十人規模の小規模ユーザーで、価格も10ユーザーで898ドルからに設定している。特殊なITスキルも必要ないので、ソリューションプロバイダにとっては扱いやすい商材だと思う。ユーザーへのサポートは、電子メールを使い、日本と米国の2拠点から対応に当たる。当面は、日本語と英語のみのサポートだが、各国で普及が進めば、他言語でのサポートの用意も検討したい。

(中井 奨=日経ソリューションビジネス)