医療機関向けITコンサルティングなどを手がけるヴァイタス(東京都文京区、曽根伸二社長)、アクシスソフト、TBSビジョン(東京都港区、平本和生社長)、KDDIなどの6社は共同で、医療機関向けのサービス「ME&i」を開始する。入院患者用のベッドサイド端末を介してテレビ番組のVOD(ビデオオンデマンド)サービスから電子カルテの表示まで様々な機能を提供するもので、2004年5月から高知県の医療機関が第1号ユーザーとして運用を開始する。

 新規開発した端末はタッチパネル搭載型。ベッドなどに取り付けて寝たまま操作できる。患者向けに娯楽コンテンツ配信や電子メール機能などを提供するほか、電子カルテなどの業務アプリケーション端末としても使える。娯楽コンテンツの目玉は、TBSが放映する人気ドラマ「水戸黄門」。VODでは初の配信で、1日何度でも見られるライセンスを設定し数百円程度で患者に販売する。

 VODには最低100MB程度の高速バックボーン回線が必要になるが、その敷設はKDDIが担当する。医療機関が負担するのはバックボーン回線にアクセスする足回りの回線にかかるコストだけ。端末も無償で提供する。収入は患者が支払う利用料金だけという。患者が購入したプリペイドカードを端末に差し込むと、料金がそこから差し引かれる方式だ。ヴァイタスの曽根社長は「回線や端末への先行投資は、時間はかかるが利用料金で回収する計画」と話す。

 アクシスソフトはME&iの端末や回線をベースに、ベッドサイドで電子カルテや看護士向けの支援機能を提供する。同社の中核製品Biz/Browserなどを使ってベッドサイド端末のWebブラウザから必要な情報を見られるようにする。ME&iがうまく離陸すれば、電子カルテと抱き合わせることで、コスト効果を高めたり、提案を差異化したりする材料として使えそうだ。

佐竹 三江=日経ソリューションビジネス

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