NECは、アビームコンサルティング(東京都千代田区、西岡一正社長)を買収する。まず12月に第三者割当増資の引き受けを含め約100億円を出資し、議決権付き株式の35%を取得する。さらに、2005年3月までに株式の過半数を取得し、2010年をメドに株式を100%取得する予定だ。NECはアビームの経営体制を尊重する意向で、本体への吸収や役員・従業員の派遣は行わない考え。

 今回の合意を機に事業面での協力関係を深め、ERP(統合基幹業務システム)やSCM(サプライチェーン・マネジメント)分野などを中心に、両社が重視する中国・アジア市場での案件獲得で協力する。アビームは現在、コンサルタントなどを中心に従業員約2000人、売上高が332億円(2004年5月期、米国会計基準)だが、中国や台湾などで積極的な人員採用や、日本でのフルアウトソーシングサービスの積極化などにより業容を拡大し、2010年には従業員1万人、売上高1000億円を目指す。

 事業面での協力で焦点になりそうなのがERP分野。アビームはSAPのERPの導入に実績があり、売り上げ全体の約4割をSAP関連で占める。最近のERP市場の変調、特に大型案件の停滞で、アビームの成長性に疑問を投げ掛ける声も出ていた。しかし「米国のERP市場でも数年前に停滞感が出ていたが、最近は完全に復調した」(西岡社長)ことから、日本でもERPとSCM/CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)との統合、ERPのアウトソーシングなど米国同様のパターンで、新たな成長を目指す考え。

 NECとアビームの連携により、アビームのERPユーザーが中国などでSCMを構築する際にNECが協力するなどの展開が可能になる。ERP以外の分野も含め、日本とアジアを基盤にグローバルなソリューションビジネスを仕掛けていくことで両社の思惑が一致した。

木村 岳史=日経ソリューションビジネス

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