東京電力傘下の通信事業者であるパワードコムは、今後3カ月間で営業職100人を採用する。2004年度上期の決算発表の席で、中根滋社長が明らかにした。パワードコムの営業部門では、事務処理や他部門との連携業務を含めて約500人のスタッフを抱えており、新規採用の大半を占める「外回り部隊」の陣容を加えることで、法人向け営業の大幅な強化に乗り出す。

 中根社長は、“営業改革”の一環として、同社長が以前に在職していたSAPジャパンなどの営業職から協力を仰ぎ、営業職を対象にした研修制度も発足させる。また、このほど、営業職に対するコミッション制度を発足させたことを明らかにした。「元の職場(SAPジャパンなど)ほどではないが、期ごとの売上高や利益率で純粋に支給額が決まる。組合の了承もきちんと得られた」(中根社長)といい、日本の通信業界では異例の給与体系といえる。

 中根社長は、社長就任後の最初の四半期となる2004年7~9月期の営業成績を振り返り、他社との競合で受注率が66%を達成した成果を披露。元々、パワードコムは自前で光アクセス回線のを持つ強みを行かし、圧倒的な価格競争力があることを売り物にしてきた。しかし中根社長の就任後は「見積書の価格を空欄にするといった、安さだけの勝負は一切やめさせた」といい、可用性や高い通信品質、顧客対応など、サービスの品質を訴求した結果、達成した受注率だという。また、「“引くな”と指示した重要商談ではし烈な価格交渉もしたが、原価を下回った料金設定は禁止する」というルールを徹底させたという。

 こうした営業体制の改善と並行して、パワードコムは未稼働設備の減損処理や、設備投資の抑制のコスト削減策を実施。2004年度下期には、連結で売上高954億8000万円、経常損益は12億5000万円と、経常ベースで黒字に転換する計画。今回発表した2004年度上期決算は、売上高854億3000万円、経常損益は80億7000万円の赤字だった。

玄 忠雄=日経ソリューションビジネス

「日経ソリューションビジネス」は、ITサービス企業の営業・マーケティング、マネジメント向けの雑誌です。
今なら「日経ソリューションビジネス」を無料で1冊試読いただけます。
詳しくはこちらからどうぞ。