日本の情報通信・電機メーカーなどで構成する電子情報技術産業協会(JEITA)は9月30日、ITソリューションサービスの品質水準をユーザーと共有するための、SLA(サービス・レベル・アグリーメント)のガイドラインを策定・公表した。ソリューションプロバイダと顧客企業が共通のSLAを持てば、顧客は適切なレベルのITサービスを選ぶことができ、満足度の向上につながる。品質に対する両者の認識の違いから発生する、過剰なコストも抑えられる。JEITAでは会員企業やユーザー企業にこのSLAガイドラインの認知・普及を進めたい考えで、11月16日には都内でガイドラインの説明会を開催する。

 ソリューションのSLAを巡っては、英国で開発されたITIL(ITインフラストラクチャ・ライブラリ)の中でも用いられているほか、日本では経済産業省や総務省が行政システムで求められるSLAを規定し、入札参加企業に順守を求めている。しかし、民間向けシステムでは業界横断的なSLAガイドラインがなく、「システムの可用性や品質に関して顧客と認識にズレがあり、トラブルになるケースが少なくなかった」(策定を担当した委員会の長を務めた、三菱電機インフォメーションシステムズの及川和彦第二事業本部製造・建設・サービスシステム部部長付)。ソリューションプロバイダと顧客が今回のガイドラインを共有することで、システムの品質に関する両者のコミュニケーションギャップの解消を狙う。

 今回JIEITAが策定したのは「民間向けITシステムのSLAガイドライン」。SLAの導入の進め方や、サービスレベル項目の定義、各項目の評価方法、顧客と契約文書でSLAを取り決める際のプロセス、賠償責任・補償に関する考え方などを網羅した。ガイドラインはソリューションビジネスの動向を踏まえながら改訂し、年1回程度の頻度で公表していくという。

玄 忠雄=日経ソリューションビジネス

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