米インテルがモバイル市場やデジタル家電市場への取り組みを強化している。その一環として、これまで企業内の基幹業務システム構築に携わってきたITサービス事業者にも「市場が拡大している」というメッセージを発する。モバイル/デジタル家電市場の広がりがITサービス産業に与える影響などをセールス/マーケティング事業本部副社長兼ソリューション市場開発事業部ディレクターのジョン・デイビス氏に聞いた。

◆つい最近までUNIXなどからIA(インテルアーキテクチャ)への移行が重要だと言っていたが。
基幹業務システムをPCサーバーで置き換えることの重要性は今でも変わらない。だが、長期的な案件で5年や10年という歳月がかかる。ただ、ユーザーの投資傾向はコスト削減が一辺倒だったが、変化している。市場を拡大するには、消費者向けの新しいサービスを構築する必要があると気付いたからだ。今、顧客はコスト削減と並行して、モバイルで生産性をさらに高めたいし、ブロードバンド(高速大容量)を使って、直接、乗用車や家庭のリビングにまでサービスを提供したいと考えている。

◆デジタル家電など組み込み系ソフトは、業務系ソフト会社には縁遠い。
IT業界の都合は、サービスの利用者には全く関係がない。サービスにアクセスしやすいかどうかでしかなく、IT業界に問われているのはどれだけ複数のシステムやサービスを統合できるかということだ。企業内システムの構築に取り組んできたITサービス事業者が94年頃まで収益を伸ばせのは、単に将来のIT投資を先食いしただけだ。今は、コスト削減とサービス拡大の両ニーズを同じ会社が持っている。ITサービス事業者は、顧客が彼らの顧客に製品やサービスを効率よく、かつ安価に届けられる仕組みを真剣に考えるべきだ。今は、顧客の顧客に目を向ける時代だ。

◆インテルがITサービス産業に提供できる支援策はあるか。
主には技術支援になる。例えば、米国で医療現場を対象にタブレットPCやPDA(携帯情報端末)を使った医療システムを米ベンチャー企業のiソフトが構築した際、当社の役割はモバイルなどの最新技術の提供、新プラットホーム上でのソフトの稼働支援、規制を超えるための官公庁との掛け合い、などだった。今後もノートPCやデジタル家電分野には積極的に投資するし、それらを使った最新システムが稼働すれば、システム構成情報や運用条件などを公開することで、システム構築市場の拡大を加速したい。

志度 昌宏=日経ソリューションビジネス