フィンランドのソフト開発会社マルチライザーは7月、ソフトのUI(ユーザーインタフェース)の他言語化作業の効率を高める支援ツールを日本市場に発売する。海外製ソフトを日本語版にしたり、逆に日本で開発したソフトを海外版にしたりを容易にする。海外では、パッケージベンダーのほか組み込みソフトへの依存度を高める各種産業機器メーカーなど4500社以上を顧客に持つという。

 7月に発売するMULTILIZER6.0エンタープライズは、翻訳辞書をベースに、メニューやエラーメッセージを自動的に変更したり、変更した文字列に合わせて表示サイズを修正したりするためのソフト。実行形式ソフトが持つリソースファイルやソースコードから文字列を抽出し、自動的に置換する。翻訳候補が企業標準として承認済みか未承認かを確認する機能や、長文翻訳などに必要なあいまい合致機能などがある。辞書はユーザーが登録・管理する仕組みで、ここを改善していけば、他言語化の品質も高まることになる。

 これまでマルチライザーは製品を自社Webサイトで直接販売し、日本市場では事務機メーカーなど10社程度が利用を始めている。今回、最新版の6.0投入を機に、アクティブポイント(千葉県松戸市、茶原雄治社長)と販売代理店契約を結び日本市場に本格参入した。茶原社長によれば、日本企業が開発したソフトの他言語化は一般に外注に出されており、コスト増に加え翻訳ノウハウが蓄積できなかった。MULTILIZERを使えば「外注費が、例えば数千万円規模の企業の場合、使えば数百万円台に下げられる」という。

 MULTILIZERの価格は、1ユーザー版が94万5000円(税込み)。

志度 昌宏=日経ソリューションビジネス