NECとスウェーデンのIFSは3月29日、出資を含み協業関係を強化することを発表した。具体的には、IFSが提供するERP(統合基幹業務システム)パッケージ「IFS Applications」の開発、販売、保守サポートの広範にわたって協力する。これによって、NECは中国やアジアにおける製造業向けのSI(システムインテグレーション)事業を加速する。NECの金杉明信社長は「ソリューションビジネスのグローバル展開が当社の成長戦略。海外でのSI事業は今後、年率20%で伸ばしていく」と意気込みを語った。

 NECは従来、IFS製品を販売するほか、日本向け機能を共同開発するなどIFSと協業関係にあった。年間約40億円あるIFS関連の売り上げの大半は国内事業によるもの。今回の関係強化によって、海外事業を拡大し、3年後に売り上げを60億円に伸ばし、そのうち3分の1を海外で稼ぎ出す計画。今後は、海外で事業を展開する国内製造業などにIFSを使ったシステムの構築、サポートを提供していく。

 開発面では今年4月に、IFSの本社に共同開発チームを設置し、製品開発段階からNECの技術者が開発に参画する。営業面では、2004年度(3月期)上期をめどに、中国とアジア地域に両社共同の営業チーム「IFS事業推進チーム」を設置する。保守サポートでは、中国上海にあるIFSの保守サポートセンターを活用し、中国・アジアにおけるサポートサービスを強化する。

 NECは今年4月1日付けで、IFSに1億スウェーデンクローネ(約15億円)を出資し、IFSの7.7%の株式、10.7%の議決権を獲得する。

森重 和春=日経ソリューションビジネス