「当社の強みは顧客と技術力。これからは、OSよりも上の部分であるミドルウエアやアプリケーションへの投資に集中する」。SRAの鹿島亨社長は、今後の事業戦略についてこう断言した。

 SRAは3月15日、100%出資子会社のターボリナックスが株式交換によってライブドアの完全子会社になることを発表している。ターボリナックスを売却した理由として、鹿島社長は「『ターボリナックスの親会社』では仕事がやりにくかった」と明かした。ターボリナックスの色が強すぎたために、ほかのLinuxベンダーからライバル視されるようになったことがビジネスに影響を及ばしていたという。

 また、ターボリナックスがサーバー用の製品よりもデスクトップ用の製品に注力するようになったため、「当初は企業向けサーバーでシナジー効果が発揮すると考えていた」(鹿島社長)が、その思惑が外れたほか、ターボリナックスが一角を担ってきたUnitedLinuxが実質的に空中分解状態に陥っていることもあり、ターボリナックスをこのまま100%子会社にしておくメリットがなくなったという。

 ターボリナックスの売却で得た利益を積極的に投資して新ビジネスを立ち上げる方針。その一環として、オープンソースのデータベースPostgreSQLをSRAが商品化した「PowerGres」の海外での販売を始める。まず4月から米国で、夏には欧州で販売する予定。米国で販売する「PowerGres on Windows英語版」を2005年3月期に1000本販売する目標を立てている。

中井 奨=日経ソリューションビジネス