ITコンサルティング会社のウルシステムズ(東京都中央区、漆原茂社長)が、流通業界をターゲットにソリューション事業に乗り出す。これまで個別企業に提供してきたITをベースにした業務コンサルティングのノウハウを核に、これからのITアーキテクチャや、それを実現するためのハード/ソフト商品、サービスなどを開発し販売する。具体的な製品の第1弾は今夏をメドに投入し、2004年内に一通りの品ぞろえを図りたい考えだ。同社が業種別商品を投入するのは、これが初めて。

 ウルシステムズが提供するのは、小売り=卸=メーカー間を結ぶ受発注ソリューション。商品の企画から販売、撤収までのライフサイクルが短くなるなかで、より顧客訴求力が強い商品の開発や店頭展開などを可能にする仕組みを一括提案する。購買力を武器に発展してきた大手チェーンストアの発注効率に焦点を当てた現在の受発注環境だけでは「いずれのプレーヤーにとっても“情報”が圧倒的に足りず、各店舗ごとの販売戦略が立てられなくなっている」(漆原社長)という。

 ソリューションの詳細は現時点では不明だが、ICタグなどに代表される技術を使い商品の1つ1つが固有情報を持てる仕組みや、その情報を基に生産やマーケティング戦略、店頭品ぞろえ、売り上げ・利益管理などを立案・実行するため情報システム連携の仕組みなどになるとみられる。基盤商品として、米ソニックソフトウェア製のシステム統合ツールSonic ESBを使う。そのためソニック日本法人と提携したことを3月8日に発表した。「中堅・中小企業が利用できるソリューションを提供するには、安価で、必要な動作環境が小さいツールが必要」(漆原社長)なことが、選択理由とする。

 ソリューション商品は自社で販売するほか、ソリューションプロバイダに商材として提供したり、システム間連携などでは協業もする。そのため、製品発売に向けて、ソリューションプロバイダらへのサポート体制も確立する。

 ウルシステムズは、オープンシステムを使ったトランザクション処理システムや、UML(共通モデリング言語)、XML(拡張マークアップ言語)といった最新技術に強みを持つITコンサルティング会社。UMLベースの独自のフレームワークUMLautを武器に戦略・業務コンサルティングを手掛ける。流通業界では、大手小売業中心にサービスを提供しているという。

志度 昌宏=日経ソリューションビジネス