欧州を中心に世界各地でITサービス事業を展開する仏アトスオリジンが、米シュルンベルジェのITサービス部門であるセマ事業部門の買収を機に、日本市場に参入する。2月末にも、日本でセマ事業を展開していたセマ(神奈川県相模原市)がアトスオリジンに改称し、日本法人として事業を引き継ぐ。アトスオリジンのアジアパシフィックCEO(最高経営責任者)のネオ・コクチェン(梁国禎)氏に、日本での事業戦略などを聞いた。

◆今年1月末にシュルンベルジェのセマ事業部門買収が完了し、当社は世界50カ国に事業拠点を持ち、売上高50億ユーロ(6700億円)を超えるITサービス企業となった。統合による規模や能力の拡大を生かして今後も事業を拡大し、2005年には売上高が100億ユーロ(1兆3400億円)を超すこと目指している。

◆セマ事業部門との統合の効果は特にアジアパシフィックで大きい。業種別ソリューションを揃えることができたほか、顧客ベースも拡大した。日本市場で特に力を入れていくのは、金融機関を中心としたグローバル企業の運用管理サービスだ。セマのこれまでの売り上げは、約8割を金融機関向けのアウトソーシングが占める。アトスオリジンも、この事業基盤をベースに事業を拡大していく。

◆当社のアウトソーシング事業の強みは、グローバルな対応ができることと、コアとなる運用プロセスをインドやマレーシアにあるオフショア拠点に置くことだ。オフショア拠点を活用することで、コストを削減できるほか、質の高いサービスを提供できる。顧客との人的なインタフェースは日本国内に持つ必要があるが、システムのインフラがどこにあるかは関係ない。日本法人の人員は当初100人に満たないが、サービスの提供にはアジアパシフィックのリソースをフルに活用できる。

◆日本市場は、大手ソリューションプロバイダがひしめいておりタフな市場だが、強みの分野にフォーカスすることで着実に事業を拡大していきたい。ICカードを使ったグローバルな社内セキュリティシステムなど、当社独自のソリューションの販売にも力を入れていく。日本市場は、今後当社がアジアパシフィックの事業を拡大する上で、重要な役割を果たす。現在、ワールドワイドに占めるアジアパシフィックの売上高は4%に過ぎないが、5年以内に10~15%に高めたい。

森重 和春=日経ソリューションビジネス