ソフトバンクBBは、IP(インターネットプロトコル)網を介して内線電話の機能を企業に提供する、いわゆるIPセントレックスサービス「BBフォン IP Centrex」を始めた。現在は顧客への売り込みとシステム構築・納入準備を進めており、4月にはサービス提供を始める予定。

 ソフトバンクがBBフォン IP Centrexで狙うのは「大企業」(瀧本和弘法人営業本部営業企画部長)。当面、同社のほかに、IPセントレックスサービスの構築に全面協力したNECがサービスの販売・納入を行う。数多くの販売代理店を募り、中小企業に「BBフォン」を販売した戦略とは一線を画す。料金体系も、1回線の基本料が他社のIPセントレックスと同程度の月額1000円と控え目だ。

 ソフトバンクBBは、個人向けADSL(非対称デジタル加入者線)Yahoo! BBとセットにしたIP電話のBBフォンで販売攻勢をかけて、回線数で見るとシェアはトップだが、サービス開始当初のサポート業務でつまずいたことや、過去に発生した通話障害などから、法人客は信頼性やサポートは不安を感じていた。

 今回のソフトバンクBBのIPセントレックス事業の成否は、この“悪いイメージ”を払拭できるかどうかにかかっている。そのため、ソフトバンクBBは大規模拠点の接続にADSLでなく全額出資子会社のアイ・ピー・レボルーション(IPR)が提供する光ファイバー回線を利用し、信頼性を高める。既にIPRは1200社の顧客を抱えており、新サービスを売り込む販路としても活用するという。

 とはいえ、有望視されているIPセントレックスサービスの競争が今後激化するのは確実だ。ソフトバンクBBがお得意の「コスト削減」という切り口が個人向けADSLの時ほど目を引かない可能性もある。ソフトバンクBBも「まずは中小企業から立ち上がるのではないか」(瀧本部長)と見るが、最終的に大企業が導入するかどうかは未知数だ。

玄 忠雄=日経ソリューションビジネス