経済産業省は2004年3月に、組み込みソフト版のITスキル標準(ITSS)を策定する。同時に、国内約1000社を対象に組み込みソフトの実態調査も実施し、これまで明確でなかった組み込みソフトの“市場規模”である付加価値総額などを明らかにする。

 自動車や家電、通信機器などに組み込まれるソフトは、ユビキタス時代の到来と共に、競争力の源泉として重要性が高まっている。非PC機器も含めたシステムインテグレーションを求められるソリューションプロバイダにとっても、組み込みソフト技術者の確保などが課題になりつつある。経済産業省は「ハードとITサービスの狭間で、政策的に落ちていた」(情報処理振興課の久米孝課長補佐)こともあり、ITSSの策定や実態調査に乗り出すことにしたもの。

 組み込みソフト版のITSSは、当初「組込みソフトウェア管理者・技術者育成研究会(SESSAME)」が策定作業を進めていたが、昨年10月に経済産業省が公的プロジェクト化した。SESSAMEは、東京大学大学院工学系研究科の飯塚悦功教授が組み込みソフトの管理者・技術者を育成するために、産官学の有志に呼び掛けて2000年11月に設立した組織で、ITSSの策定作業もこれまで“手弁当”で行っていた。

 組み込みソフト版のITSSでは、ITサービスでのITSSと同様、組み込みソフトのスキルやプロジェクトマネジメントのスキルなどを整理すると共に、スキルレベルを定義する。ITSSによる技術者のキャリアパスも明確にしたい考え。

 一方、組み込みソフトの実態調査は、ガートナージャパンに委託し、1月中にも調査を開始し、3月末に結果を公開する。国内だけでなく欧米の実態も同時に調査し、比較できるようにする予定だ。

木村 岳史=日経ソリューションビジネス