消費財メーカーや卸業者、IT関連企業22社は11月26日、商品マスタデータ交換の標準化プロジェクトを共同で実証実験すると発表した。日用雑貨や化粧品、酒類、加工食品などのメーカー、卸業者、小売り業者などの間で受発注で使う商品マスタデータが統一されていないため、これまで情報の伝達に多大な労力をかけてきた。今回の実証実験は、そのロスを少なくすることによって、コスト削減する活動の一環。世界の主要な消費財メーカーや流通業者が参加しているGCI(グローバル・コマース・イニシアチブ)との連動を目指す。

 参加するのは花王やP&G(プロクター・アンド・ギャンブル)日本法人、アサヒビールなどの消費財メーカーに加え、菱食や国分、三井物産などの卸業者、プラネットやファイネットなどのVAN業者。WWRE(ワールドワイド・リテール・エクスチェンジ)やBizMartなどの電子商取引(EC)市場なども参加する。

 同プロジェクトでは、メーカーや卸業者が入力した商品データを世界標準フォーマットであるXML(拡張マークアップ言語)形式に変換。そのデータをWWREやBizMartが受け取り、小売業者を中心とした会員企業が閲覧する。実証実験に踏み切ったのは「どのくらいデータの欠落やエラーがあるのか、ネットワークやサーバーの負荷はどのくらいかかるのかなどは、実験をしてみないと分からないところが多い」(三井物産)からだという。

 技術面でサポートするのは、インテックコミュニケーションズ、日立製作所、富士通、マイクロソフトの4社。富士通はInterstageの「Application Server」と「CollaborationRing」を提供し、マイクロソフトは「BizTalk Server」を提供する。これらで開発したデータ交換プログラムをプラネットやファイネットに接続することによって、データ交換ができるようになる。

 近い将来、VAN業者やEC市場だけが標準XMLに対応するのではなく、会員となっている消費財メーカーや卸業者、小売り業者がそれぞれ自社の受発注システムとデータを連携させなければならなくなる。「商機はそのとき」(富士通)と見るソリューションプロバイダも多く、今後の動向に目が離せない。

渡辺 一正=日経ソリューションビジネス