11月19日現在で、約80社のソリューションプロバイダが、2004年3月期の中間決算を発表した。売上高上位の48社中、約3分の1の17社が、増収増益を達成している(表)。厳しかった前年同期と比較した数字なので、手放しでは喜べない。しかし、多くの増収増益企業の経営トップは発表の席で、コスト削減やプロジェクト管理の徹底、人員の再配置などの“地固め”がひとまず終わったという認識を示した。

 その一方で、営業利益を大きく落とした企業や営業赤字に陥った企業も多い。こうした各社が共通して挙げる敗因は「情報化投資に慎重なユーザー」「競争激化による価格低下」だが、最も目立ったのは「不採算案件」である。

 営業利益を前年同期比で33%下げたNECソフトは、その理由について「大型開発案件で、仕様決定の詰めが甘く、開発のやり直しが発生した」と説明した。8割近くも営業利益が低下したアルゴ21は、「プライム商談の獲得に力を入れたが、複数の案件で予想外に原価が膨らんだ」とする。営業赤字に陥った電通国際情報サービスは、「前期に発生した不採算案件の影響が残った。今期その案件の総合テストにかかる工数が予想以上に膨らんでしまった」と説明する。

 同じく営業赤字の日本電子計算によると「上期に受注した案件で、受注条件が悪化した」という。価格競争のあおりを受け受注条件が悪化すると、当然不採算プロジェクトは発生しやすくなる。さらに不採算プロジェクトの怖いところは、他の案件への影響だ。

 営業利益を4割下げた日本システムディベロップメントは「一部の不採算案件により収益が悪化した上に、その影響から営業活動が一部停滞し、売り上げ目標を達成できなかった」とする。

 不採算案件の影響を大きく受けたソリューションプロバイダの多くには共通点がある。不採算案件が、下請け構造からの脱却を図ろうとして獲得したプライム商談で数多く発生していることだ。下期の目標として、プロジェクト管理の徹底や人材教育といった再発防止策を掲げる企業は多い。これらの企業にとって下期は、プライム商談を狙うソリューションプロバイダになれるか、それとも単なる受託開発会社としてソフト開発に専念せざるを得ないかを決める岐路になりそうだ。

佐竹 三江=日経ソリューションビジネス

表をクリックすると拡大表示します