サン・マイクロシステムズは10月21日、ソフトウエア製品の料金体系を大きく変えると発表した。新料金体系「Sun Java System」では、様々なソフトを1つにまとめたスイート製品にした上で、利用料金を年額で徴収する形態に切り替える。また、バージョンアップは四半期に一度、すべての製品に対して同時に行う。

 新体系の第1弾として発売を開始したのは、サーバー向け基盤ソフトウエア製品群「Java Enterprise System」。Solaris 9上で稼働する13種類の既存ソフト、Directory ServerやIdentity Server、Application Server、Web Server、Portal Server、Messaging Server、Calender Serverなどを同梱している。これらの導入費用や保守サポート費用、トレーニング費用までを合わせて、従業員1人当たり年間1万1000円に設定した。出荷は12月中旬を予定しており、2004年前半にはLinux版も投入する。既存製品のユーザーに対しても、新料金体系に移行できるようにする。

 Sun Java Systemはこれだけではない。2004年春にはデスクトップ製品をまとめた「Java Desktop System」、開発者向けの「Java Studio」を発売する。また、1年後をメドにモバイル関連の「Java Mobility System」やカード業界向け「Java Card System」なども発売する計画だ。これらに対しても、利用企業の従業員をベースにした料金体系が軸になるものと見られる。

 課題は、システム構成の料金根拠を従業員数に求めたサンの方針が、どれだけ市場に受け入れられるかどうか。多数のシステムを使っていても、従業員が100人以下なら最低価格の110万円(100人分のライセンス)。逆に、わずか1つのシステムを使っていても従業員が1000人なら年間1100万円となってしまう。従来ならポータル製品(1CPU分)とWebアプリケーションサーバー製品(1CPU分)だけで、ソフト価格が1100万円超となるため、割安感はありそうだ。

 「ターゲットはグローバルな大企業だが、Sun Java Systemだけで大きく事業の収益を得ようという目的の体系変更ではない」とダン・ミラー社長は説明する。「複雑ではない料金体系を提示することが管理コストの削減、顧客のメリットとなり、新たなシステム構築の需要を喚起できる」(同)という。

 新料金体系について、パートナー企業26社から賛同を得ている。「正直、これほど多くのパートナーから賛同を得られるとは思っていなかった。ビジネスモデルを理解してもらえた証拠だ」とプロダクト・マーケティング本部の山本恭典本部長と自信を覗かせる。

渡辺 一正=日経ソリューションビジネス