コンサルティング大手の米ベリングポイントが中国市場で攻勢をかけている。2001年に上海に現地法人を設立して以来、中国に進出した日本企業などに対してERP(統合基幹業務システム)導入などのコンサルティングを展開している。中国法人の従業員数は2004年に1000人を超える体制にする計画。このほど来日した中国ベリングポイントの黄輝(ホァン・フィ)社長に中国のIT市場動向について聞いた。要旨は以下の通り。

◆中国でのIT需要の状況は?
製造、金融などあらゆる業界で、システムの導入やコンサルティングの需要が高まっていると思う。例えば、金融業界では不良資産を減らすためのリスク管理をしようという動きがあるほか、基幹システムのフロント、ミドル、バックエンドの統合も大きな課題になっている。また、電力業界では電力会社が5つに分割されたことによって、競争が激しくなり、各社は経営効率の向上を図ろうとしている。中国では、今年初めに新型肺炎SARS(重症急性呼吸器症候群)が発生してが、早い段階で終息したため、予想したほどの影響はなかった。

◆中国のIT市場規模は?
システム導入とコンサルティングを合わせた市場規模は、現在、日本円で約6000億円と見ているが、今後10年間で30%を超える成長を遂げるだろう。中国企業が経済的な価値を高める手段として、システムの導入とコンサルティングの価値を認めているからだ。ベリングポイント中国法人も2001年の設立時には従業員20人でスタートしたが、現在は約600人に達しており、今後の成長を見越して2004年6月には1060人体制にする計画を立てている。

◆日本のソリューションプロバイダも中国市場に進出している
顧客の多くは中国に進出している日系企業で、中国企業を顧客に抱えるソリューションプロバイダはまだ少ない。人材はもちろん、ソリューションを中国の文化に合わせて提供するという“現地化”ができていないからだ。例えば、BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)のソリューションを提供するにしても、会社全体を一気に変革しようとするのではなく、段階を経て変えていく手法を採用しなければならないだろう。欧米はトップダウンでアプローチしているのに対し、日本はボトムアップが主流だが、中国ではトップダウンとボトムアップの両方からアプローチすることが必要だ。

中井 奨=日経ソリューションビジネス