カナダのISV(独立系ソフトベンダー)ウオッチファイヤーが、Webサイトがビジネス上の目的を達するのに必要な品質を維持できているかどうかを管理するためのツールを年内に日本市場で発売する。それに伴って、日本でユーザーサポート機能を提供できるディストリビュータと、販売パートナーを獲得する。

 ウオッチファイヤーが発売するWeb XMは、Webサイトにアクセスするエンドユーザーの視点で、Webサイトの“振る舞い”が正常かどうかを自動的にチェックし、不備を把握するためのソフト。CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)ソフトが、Webサイトにあげる大量コンテンツの作成や管理など技術的な視点が強いのに対し、Web XMは「不満を感じた利用者のWebサイト離れや、個人情報の管理ミス、あるいは事業部門が個別に同種のページを作成することによる運用コストの増加など、ビジネス上の課題を解消する視点が強い」(ウオッチファイヤー)という。

 Webサイトをチェックポイントは(1)品質、(2)プライバシ、(3)アクセサビリティの三つ。品質では、企業のロゴなどが正しい位置に確実に表示しているか、リンクが確実に貼られているか、表示速度は遅くないかなどをチェックする。プライバシでは、顧客情報の入力を促すページの所在の把握や第3者に顧客情報が流れていなかいを監視する。アクセサビリティでは、ハンディキャップのある利用者に対して不利益な設定がないかどうかなどを検査する。

 北米では既にプライバシやマイノリティへの対応が重要になっており、それを怠ったために訴訟問題になったケースもある。IT業界では、米IBMや米デルなど、ワールドワイドでWebサイトのイメージを統一したい企業や、オンライン販売を拡大している企業が顧客になっているという。売上高は倍々ゲームで伸びており、2003年は2000万ドルを見込む。

 日本市場でも、個人情報保護法の制定に加え、Webサイト上でブランドを確立したい企業が増えていることから、市場の拡大を期待している。当面、ユーザーサポート機能を持てるディストリビュータ1社と、リセラー数社を販売パートナーにする考え。今秋にはユーザーインタフェースやマニュアルなどの日本語化の作業が終わるため、年内に発売する予定。日本市場で利用が広がっている携帯電話からのアクセスに対するチェック機能の開発にも力を入れる。

 北米でのWeb XMの価格は1サイト当たり2万5000ドルから。このほか、品質をチェックしながらページを開発するためのWebQA(1500ドル)も発売する。

志度 昌宏=日経ソリューションビジネス