住商情報システム(SCS)は7月7日、中堅企業向けERP(統合業務パッケージ)製品「ProActive」の新シリーズの開発に着手、2004年5月に第1弾を発売する。Javaをベースにゼロから開発した新製品で、正式名称や価格は未定。当面は主力製品である「ProActive Gv(ジーファイブ)」と併売する。新ERP製品では専用の開発ツールを提供し、ERP導入後に発生するシステムの変更に素早く、低コストで対応できるようにする。

 専用の開発ツールは「Victoread」との名称で、追加開発の期間やコストなどを従来よりも2割程度は削減できるとしている。「ERP導入に伴う投資の4分の3は、稼働後に費やされる。稼働後の業務変更によって引き起こされるカスタマイズ費用を軽減することは、中堅企業にとって重要」(SCS)なため、専用ツールを用意した。Victoreadには、業務分析ツール「Mind-Designer」やデータベース設計ツール「Data-INTIMATE」のインタフェースを用意。これらのツールで開発した業務設計プロセスなどを自動的に新型ERPで反映できる。

 ユーザー企業にはVictoreadの実行環境だけが与えられ、開発環境は公開しない。開発は導入やカスタマイズを担当するSCSやパートナーに対してのみ利用ライセンスを発行する。パートナーはMind-Designerなどを利用するほか、SCSが開発したプログラム部品群を使ってカスタマイズできる。そのプログラム部品群は現行のProActiveと比べて数十倍にのぼるという。それらを組み合わせてカスタマイズすることで開発期間を短縮できる。

 2004年5月の時点では、財務会計や管理会計などの会計モジュールを先行出荷する。その後、販売管理や人事、在庫管理などのモジュール計8種類を順次発売する。価格は未定ながらも、現行製品よりも若干高めになるもよう。従来製品からのアップグレードなども用意する計画だ。

渡辺 一正=日経ソリューションビジネス