日本IBMは6月16日に出荷するメインフレームの最上位機種z990で、他社製UNIXサーバーのユーザーを攻略する。2002年に基幹系システムの構築案件の引き合いが減ったことで伸び悩んだメインフレームを、ERPやWebアプリケーションなどの“新規分野”に売り込むことで復活させる。

 z990では、プロセサに初のスーパースカラー技術を採用し、処理性能を従来の3倍に引き上げるなど、UNIXにを意識した強化を施した。zOS搭載モデルに加え、Linux専用モデル「z990Linuxモデル」を用意した。

 売り込みのキーワードは「サーバー統合によるTCO削減」だ。UNIXサーバーを多数抱えるユーザーがターゲットになる。「z990Linuxモデルにミドルウエアz/VMを追加して論理分割すれば、複数のUNIXサーバーの環境をメインフレームと同じ環境で再現できる上、運用コストやソフトウエアのライセンス料が大幅に減らせる」と売り込む。IBMの試算によれば「75台以上のUNIXサーバーを統合すればTCO削減効果が出る」という。

 TCO削減効果を強調するため、課金体系も“オン・デマンド型”にした。小規模のメインフレーム・ユーザーが多い日本の事情に合わせ、ソフトウエアの利用料課金方式「ワークロード利用料金(WLC)」を改定した。従来は、基本料金として約250MIPSの利用に相当する料金を支払う必要があったが、これを一気に15分の1の約18MIPS相当に引き下げた。また、不要なプロセッサを利用料金の算定対象から1日単位で除外できるOn-Offキャパシティー・オンデマンドを適用した。(佐竹)