韓国のセキュリティ・ベンダー,アンラボが11月から日本市場で本格的にセキュリティ商品の販売を開始する。産業システム総合商社の千代田組(東京都港区,露口哲郎社長)が総販売元となり,アンチウイルス・ソフトを中心にセキュリティ製品/サービスを売り込む。特に企業向け製品/サービスの販売に力を入れる方針で,販売チャネル構築のために,販売パートナのシステム・プロバイダを探している。

 アンラボは,1997年から韓国でサーバー用のウイルス対策ソフトの販売を開始。今年2月に日本法人(東京都品川区,黄孝鉉社長)を設立し,日本市場進出の第一弾として11月から,NECインターチャネル(東京都港区,黒川湛社長)の販売網を通じて,コンシューマ向けのアンチウイルス・ソフト「V3 VirusBlock」の販売を開始する。年内には,短時間で新種ウイルスの発見から防御,駆除までを行うウイルス対策サービス「Virus Blocking Service(VBS)」を開始,さらに2002年第一四半期から2003年第一四半期にかけて,ゲートウエイやサーバーなどを対象にした企業向けアンチウイルス・ソフトや統合管理ツールも相次いで出荷を開始する予定だ。

 アンラボは,韓国のアンチウイルス・ソフト市場では,約70%の市場を持つ。日本でも「3年間でシェア5%獲得を目指す」(アンラボ)としている。日本では,法人とコンシューマの売り上げの比率を8:2にしたい意向だ。法人への拡販に備えて,総販売元の千代田組が,販売パートナ体制の確立を進めている。販売パートナは,販売実績に応じて「プラチナ」「ゴールド」「シルバー」の3種類のパートナ・プログラムを用意。仕切り率や専任のSEによるサポート体制などに差を設ける。しかし,各パートナとなる具体的な企業やパートナ支援の詳細など,今後決めていくべき点も多い。千代田組は「販売力のある大手システム・インテグレータ10社程度を来年4月までにプラチナ・パートナにしたい」としている。

 日本市場では,トレンドマイクロやシマンテックなど既に先行ベンダーで大きなシェアを占める。アンチウイルス・ソフトの企業のへ導入率も高く成熟した市場という見方もされており,既存ベンダーの牙城を崩すのは並大抵ではない。VBSのような新種ウイルス対策サービスについても,トレンドマイクロや日本ネットワークアソシエイツなどが既に同様のサービスを発表している。アンラボは「(先行のベンダーとは違って)他社のウイルス対策製品とも共存させてサービスを提供可能だ」としているが,目標のシェア5%を達成するためには,他社に対する明確な優位性をアピールし,販売チャネル体制の確立を図ることが大きな課題になりそうだ。(中井)