情報システム

ITレポート(動向/解説)

日経ソリューションビジネス

情報漏洩対策は6割が未対応
導入予定IAサーバーでデルが1位に

中堅・中小企業のIT導入実態

2005/06/24
出典:2005年4月15日号  60ページ
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

 中堅・中小企業のIT導入意欲は上向きつつある。約半数がサーバーの導入計画を持つ。個人情報保護法が施行されたが、情報漏洩対策は遅れが目立つ。OSでは、NTがまだ25%強残っている。

(伊嶋 謙二 ノークリサーチ代表)


 ノークリサーチでは毎年、中堅・中小企業のIT導入実態を調査している。今回は2005年1月にWebを使って、IAサーバー導入企業を対象に行った。有効回答数は524社である。


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図1●ITアプリケーションの導入状況
 まずIAサーバー上の利用アプリケーションから見ていこう。図1のように、財務会計(86.2%)、人事・給与(80.6%)、販売・在庫管理(75.6%)と、基幹系業務システムの導入率が極めて高い結果となった。中堅・中小企業では、基幹業務をIAサーバーで処理することはもはや当たり前になっている。

 他のアプリケーションでは、グループウエア(57.2%)、無線LAN(40.1%)の導入率が高い。IP電話は導入率こそ25.3%だが、導入検討中が49.9%と極めて高い関心度を示している。

 アプリケーションの導入状況は、2004年の調査との比較では総じて大きな変化はない。ERP(25.5%)とDWH(20.3%)は若干だが導入率が低下した。これは回答企業規模が昨年よりも低い年商帯が多いためだろう。逆に、ASPは14.6%と昨年の11.5%に比べ3ポイント以上高まっている。

情報漏洩対策は6割が予定なし


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図2●情報システムについて情報漏洩対策の実施状況
 個人情報保護法の施行で関心が高まっている情報漏洩対策について聞いたのが図2である。「対策済み、または3月末までに実施予定」という回答はわずか13.8%に過ぎなかった。最も多かったのは、「対策は検討中だが、実施は4月以降になる」で25.2%だった。「実施したいが、対策が分からない」(2.7%)を含めても、対策を実施または実施意向という企業は41.7%にとどまる。逆に、約6割の企業は対応予定がないことになる。また、個人情報を保護する目的で付与される規格「プライバシーマーク」の取得については、4月以降に取得予定を含めても2割に満たなかった。ただ、これらの結果は、個人情報保護法が施行された現時点で調査すれば変わるかもしれない。

 図にはないが、調査ではネットワークセキュリティ対策の実施状況についても聞いた。その結果、「ウイルス対策ソフトの導入」が90.6%、「ファイアウオールなど不正アクセスの防止」が68.9%と、外部侵入防止策についてはしっかりと対応できている。半面、「社内向けのアクセス制限を設けている」企業は35.1%と対応率が低い。

Windows NTがいまだに25%


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図3●IAサーバーで利用しているOS
 メインで利用するサーバーのOSは、Windowsの新版に移りつつあるが、NTもいまだに25.5%ある(図3)。主力はWindows 2000で42.6%、Windows 2003はまだ14.6%だった。

 図にはないが、NTユーザーに今後の意向を聞いたところ、実に52.3%がそのまま使い続けると回答している。しかし、Windows NTに関するマイクロソフトのサポートは2004年12月で終了している。その点について認知していたのは、NTユーザーの73.9%だった。逆に26.1%のユーザーはNTのサポート終了を知らなかった。

 Linuxは着実に増えているが、それでもまだ6.6%にとどまる。


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図4●Linux導入に対する考え
 メイン利用含む全サーバーでは、Linuxを「既に使っている」のは25%に上る(図4)。「今後使いたい」と合わせると43.8%になる。商用Linuxのベンダーシェアではレッドハットが62.7%と圧倒的に高い。以下、ターボリナックスが32.9%、ミラクルリナックスが8.3%だった。「今後使いたい」を含め、Linuxの用途は、メール/Webサーバーが64.0%と圧倒的だ。次いでデータベースサーバーが38.2%だった。基幹業務用は11.4%と少ない。

タワーが7割、ブレードはわずか

 調査では、IAサーバーの形状についても聞いた。その結果、図にはないが、タワー型が71.7%と圧倒的に多かった。ラック型も25.0%と高い。ブレードサーバーは1.1%であり、中堅・中小企業ではまだほとんど使われていない。

 話題になっているブレードサーバーであるが、そのイメージについて聞いたところ、高密度性(29.8%)、拡張性(27.1%)など、ブレードの訴求点を理解した回答が目立った。半面、「よく分からない」が51.1%に上った。

 サーバーの信頼性向上についても聞いたところ、ほとんどの企業が何らかの対策を実施していた。バックアップ(87.6%)、RAIDなどの冗長化(48.9%)、クラスタ構成(22.9)、無停止型サーバーの導入(15.1%)となっている。

デルがシェアを伸ばす

 IAサーバーのメーカー別シェアはかなり混戦模様である(図5)。トップはNECの22.3%だが、2位以下とはあまり差がない。日本IBMと富士通は拮抗している。こうした中、デルは14.7%とシェアを高めている。2003年の調査では9.4%であり、上位3社から着実にシェアを奪っている。

 IAサーバーの購入先は、ディーラーや販売店が55.8%と相変わらず多い(図6)。SIer、ソフトハウスは13.1%だった。Webや電話などの通販は4.0%と少ないが、これはデルと日本HPの分が直販に含まれているためと思われる。メーカー直販の割合は24.2%と前年(21.6%)を上回っている。


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図5●設置されたIAサーバーのメーカー別シェア
図6●IAサーバーの購入先

半数が今後の導入計画あり

 図にはないが、サーバーの今後の導入予定は「導入の検討・計画・考慮」を合わせると50.0%に上る。これは2004年の40.6%を大きく上回っている。サーバー導入を予定している企業は「半年以内」が33.1%、「1年以内」が33.1%で、7割近くが1年以内に導入を計画している。


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図7●今後導入予定のサーバーの導入理由(複数回答、n=261)
 導入理由は「システムの入れ替え」のためが最も多く31.8%を占めた(図7)。高コスト、スペック不足など、現システムに問題ありと考えている企業が多いことが分かる。次いで「Windows NTから最新OSへのアップグレード」が29.5%、社内情報系の整備目的である「グループウエアなどで社内のコミュニケーション強化」が28.4%、「基幹業務のデータ一元化、ERP導入」が25.7%となっている。


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図8●導入を検討しているIAサーバーのメーカー
 逆に「販売・営業に直接役立つシステムの構築」「経営の意思決定に役立つシステムの構築」「CRMなど顧客情報を活用するシステムの構築」などの戦略的な活用を目的とした導入は少ない。

 今後の導入予定サーバーのメーカーでは、デルが20.4%でNEC(18.1%)を抜いて1位だった(図8)。導入予定でデルが首位に立ったのは初めてである。来年の設置ベースのシェアではデルがさらに順位を上げる可能性がある。


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【調査の概要】

■伊嶋 謙二(いしま けんじ)
1956年生まれ。矢野経済研究所を経て1998年に独立し、ノークリサーチを設立。IT市場に特化した調査、コンサルティングを展開。特に中堅・中小企業市場の分析に注力している。

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