日本アバイアが、日本市場でIP電話ソリューションの拡販に乗り出す。まず、日本市場に特化したIP電話機の新機種「SP-1020A」を東芝と共同開発し、6月中旬に発売。同時に投入するIP電話サーバー用ソフトの新版「Avaya Communication Manager 3.0」にも、約120におよぶ日本市場向けの機能を盛り込んだ。加えて、実際の活動レベルで14社にとどまっていた販売パートナーを大きく増やし、顧客へのリーチを広める。

 米AT&TのPBX(構内交換機)製造部門が発祥のアバイア・グループは、IP電話市場において、元々強い欧米に加え、アジア太平洋地域でもシェアを伸ばしており、「現在は首位」(日本アバイアのリンダ・ドッツ社長)という。しかし日本では、コールセンター向けでこそ4割程度のシェアを誇るものの、オフィス利用が中心の一般企業向けではシェア十数%にとどまっていた。

 その最大の原因が、(1)電話機の機能や使い勝手が日本のオフィスになじまない、(2)知名度や販売パートナーの充実度で競合他社に劣っていた—の2点だ。今回の新戦略は、こうした課題の解決を図る第1弾となる。

パートナー同士の協業も支援

 まず製品機能については、SP-1020AやCommunication Manager 3.0で、日本の多機能ビジネスフォンに倣った新機能を加えた。その一例がマルチライン機能。SP-1020Aは液晶画面を小さくした代わりに多数のボタンを用意したことで、1回の操作で複数回線からの着信を扱ったり、回線の状況をランプで確認しながら保留・転送したりできる。日本のオフィスで一般的なグループ代表機能も備えた。電話機、サーバーともに業界標準のSIP(セッション・イニシエーション・プロトコル)を全面採用した上で、これらの機能強化を図っている。


図●パートナーの力を借り一般企業向けソリューションを本格展開
 販売策では、既存の通信系パートナーとは競合しない新たなパートナー開拓に努める。特に注力するのが、ISV(独立系ソフトベンダー)。狙いは「規模は中小でも特定業種・顧客層に強いISVに、業務アプリケーションとIP電話との統合ソリューションの開発を推し進めてもらう」(ドッツ社長)点にある。コールセンター向けでアバイア製品が支持される理由の1つが、豊富にそろったアプリケーションだ。ISVの力を借りて、同じ成功モデルを日本のオフィス向け市場でも築きたいわけだ。同時に、開発に強いパートナーを通信系などの販売パートナーに紹介し、協業を促す支援策にも取り組む。

 このように新たに開拓したIT系と通信系のパートナーの協業を推し進め、今後2年間で「オフィス向けのシェアを倍増し、日本でトップ3に入りたい」(ドッツ社長)と意気込む。

(玄 忠雄)