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日経ソリューションビジネス

腹をくくって挑んだ大規模商談
売上規模500倍の大手に競り勝つ

顧客の将来戦略を重視した提案が勝機を呼ぶ

2005/01/28
出典:2005年1月30日号  44ページ
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

日本流通システムが、本命視された大手ソリューションプロバイダを押しのけ、廣済堂のシステム再構築案件を受注した。当初は、辞退も考えた大規模案件を制した勝因とは──。 (文中敬称略)

 「提案依頼を受けたとき、当社は“当て馬”だろうとしか思えなかった」。日本流通システム(JCS)社長の平井義之は、廣済堂との商談をこう振り返る。

 平井がそう思ったのも無理はない。JCSが受注したのは、廣済堂の出版事業を支える基幹システムの再構築案件。求人情報誌の原稿管理や売り上げ管理、顧客管理などからなるシステムで、受注金額は約2億円に及ぶ。それが、社員数25人、売上高約3億5000万円の企業が受注したのだから、競合企業など周りの驚きも相当なものだった。商談当初の下馬評では、従来のシステムを手掛けていた富士通ビジネスシステム(FJB)が引き続き受注するという見方が大勢で、競合企業にとってはまさかの大どんでん返しだった。

下請け構造の弊害に不満

 廣済堂が、本格的にシステム再構築の検討を始めたのは2003年4月。検討に当たっては、システム開発のあり方を大きく変えることを目指した。従来、大手メーカーや、FJBなどメーカー系大手ソリューションプロバイダにシステム開発や保守・運用を任せていたが、ベンダー依存度が高く、その関係は必ずしも満足できるものではなかったからだ。

 廣済堂が不満を感じていたのは、下請け構造による弊害だ。大手ソリューションプロバイダと取引していても、実際に開発に携わるのは下請けのソフト開発会社。廣済堂情報事業部事業企画部部長の岡本公明はかねて「実際に当社のシステムを分かってくれている下請け企業は、当社ではなく元請け企業を見て仕事をしている。その結果、当社の思うようなシステムができないことが少なくない」と感じていた。システムを変更しようにも、元請けの営業担当者経由のやり取りに時間がかかり、高額の料金も発生していた。

 岡本は今回の再構築案件では「実際に開発に携わる人と、密接にやり取りできる関係を築きたい」と考えた。そこで商談相手として候補に上がったのが、JCSだった。JCSとは、NECの汎用機を使っていた10年近く前に、NECの代理店としてパソコンの納入などで取引があった。システムが富士通製に替わってからその取引もなくなっていたが、ソフト開発に力を入れているという過去の売り込みを思い出し、声をかけたのだ。

 商談に臨むにあたって廣済堂は、自らRFP(提案依頼書)を作成し、大手を含む複数のソリューションプロバイダからの提案を評価し、発注先を決めることにした。情報事業部事業企画部システム係係長の山口浩嗣は「それまで相見積もりを取ったことも、RFPを作ったこともなかった」と明かす。山口は、RFPの作り方を勉強しながら、およそ1カ月をかけA4で約40ページに及ぶRFPを作成した。

 廣済堂は2003年11月7日、JCSとFJB、そして、それまで取引経験のない日本ヒューレット・パッカードと松下電工インフォメーションシステムズを加えた4社に、提案を依頼した。依頼の場では「当て馬ではないか」といぶかるFJB以外の3社に対して「真剣に提案を出してくれれば、本気で検討する」と念を押した。

(森重 和春)

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