11月、中国から2つのシステム復旧ツールが日本市場に上陸した。ウイルス感染やOSに障害が発生した時に、正常に稼働していた状態に短時間で戻せる。図書館やインターネットカフェなど不特定多数が利用する環境を中心に、官公庁や大手企業向けの商談が動き出している。

 「OSそのものが壊れても、正常に動作していた状態に戻せる。仕組みが簡単なだけに、種々の利用方法を提案できるツールだ」。

 イーセーフネット(川崎市)の奥野崇社長は、11月に発売したシステム復旧ツールFlashBackの特徴をこう語る。同時期に同様の復旧ツールSystemBackをビットストロング(東京都千代田区、門洪涛社長)も発売した。

 FlashBackとSystemBackはいずれも、ハードディスク全体のイメージ(状態)を圧縮・保存し、障害発生時には、そのイメージを再現することで正常に動作していた状態に復旧させるためのツール。BIOS(基本入出力ソフト)レベルでハードディスクを制御し、OSに依存せずに動作する。

 システム障害を誘発する要因は増える一方だ。ウイルス感染のほか、アプリケーションの追加や、セキュリティパッチの適用などなど。パソコン購入時にメーカーが用意するバックアップCDは、購入時点にまで戻るため、それまでに手間暇かけた種々の設定が消える。

 両ツールは、必要な設定はそのままに、障害要因が起こる前の“過去”に戻れるタイムマシーンのようなもの。バックアップCDをカスタマイズするためのツールとも言える。復旧ポイントは、1時点あるいは複数時点を設定できる。

中国市場では官公庁市場で実績

 FlashBackとSystemBackの、もう1つの共通点は、開発会社が中国企業ということ。FlashBackは、北京イーセーフネット・サイエンスアンドテクノロジが、SystemBackはサミングテクノロジが、それぞれ開発する。

 前者は、セキュリティ関連ツールの開発会社で、ミラーリングツールや、文書へのアクセス制御ソフトなどを持つ。後者はハードディスク関連専門でファームウエアなども開発する。いずれも、政府系市場を中心に実績があるという。

(志度 昌宏)