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中山は、原則として鞄を持たずに客先を回る。鞄の中身を見せてほしいと頼んだところ、少々申し分けなさそうに「これしか持たないんです」と言って見せてくれたのが、自社のサービスを紹介するパンフレットを挟んだハードカバーのノートだった。最小限の荷物しか持ち歩かない理由を、中山は「顧客の声を聞くことに専念するため」と説明する。
中山が扱うのは、通常の契約期間が1年という通信サービス。ハードウエアと異なり、初年度で解約されることもある。「サービスを長く使ってもらいたいので、顧客が何をしたいのか、何を求めているのか知ることに重点を置いている」と語る。
販売を担当しているCAN(Customer Access Network)は、大都市の拠点を対象にした高速光アクセス回線サービス。法人向け国内通信の強化に力を入れているC &W IDC(ケーブル・アンド・ワイヤレスIDC)が、社運をかけて2001年末に投入したサービスだ。幸い、顧客数は順調に増えている。“IP電話ショック”で知られる東京ガスによるIPセントレックスの導入でも、通話品質のカギを握る光アクセス回線にCANが採用された。
これまでの活躍が認められ、中山は2002年度に同社のフィリップ・グリーン社長が選ぶ「CEOアワード」を受賞している。昨年4月には営業歴5年足らずでグループリーダーに就任し、現在は5人の部下を率いる。
そんな中山の本領が発揮され、強く印象に残っていると語るのは、ヤマト運輸の子会社であるヤマトシステム開発にアクセス回線を納入した時のことだ。ヤマトシステム開発が東陽町に情報システムセンターを開設するという商談に臨んだ中山は、顧客の要求から「新サービスが必要」と判断した。すぐに社内の開発部門などにかけあい、ギガビット・イーサネット技術を使った新サービスを投入し、ヤマトシステム開発に採用を働きかけ、受注にこぎ着けた。新たに開発したこの「ギガ専用線」のサービスは、現在、C&W IDCの主力メニューの1つになっている。
中山 一郎(なかやま いちろう)氏ケーブル・アンド・ワイヤレスIDC
法人営業部門 CAN営業部第4グループ
グループリーダー |