BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業に参入するITサービス会社が相次いでいる。BPOは単なる新規ビジネスではなく,ユーザー企業の“構造変化”にも備える取り組みだ。

 「情報システム部門だけを相手に商売していては,数年後には仕事がなくなってしまうだろう。ITサービス業は自らのビジネスの範囲を狭く限定しすぎていた。BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)こそ新たな成長の機会だ。ビジネスのルールを変えなければならない」―。

 これは,CSKの有賀貞一副社長の弁だ。こうした問題意識を基に,同社は今年4月にBPO開発本部を設置し,10月からは業務コンサルティングも含む本格的なBPO事業に乗り出した。

続々と参入するITサービス会社

 単なるIT(情報技術)アウトソーシングと異なり,BPOは物流や総務・人事などユーザー企業の業務プロセスごと請け負う(図1)。以前からITサービス業の新規ビジネスとして,その可能性が注目されていたが,ここへ来て,多くの企業がBPOの事業化に取り組み始めた(表1)。

 例えば,10月にビジネス・プロセス・アウトソーシング営業部を設置した住商情報システム。2年前から人事業務などのBPOに取り組んでいたが,今回はその営業を一元的に担う組織を新設し,BPOをコア事業として推進することにした。また日本IBMが7月に,ビジネス・プロセス・アウトソーシング推進を設置したほか,9月には日本ユニシスが「BPOをアウトソーシング事業の最重要戦略」と位置付け,人材派遣会社アシスト(東京都千代田区)と提携し本格参入した。

 既にBPOをコア事業に位置付けているのが,TIS子会社のアグレックスだ。同社は,クレジットカードの入会審査業務や新薬の治験データ管理業務などを請け負っている。約270社の取引先のうち二十数社がBPOユーザーだという。

(木村 岳史)