企業向けの最新モバイル・ソリューションの講演会「ケータイ on Businessサミット」が,5月19日にサンシャインシティプリンスホテルで開催された。日経BP社の企業向けモバイル情報サイト「ケータイon Business」が企画したもの。携帯電話主要3事業者の役員が,携帯電話を中核とした新しい世代のモバイル・ソリューションについて講演を行った。

docomo
KDDIの伊藤取締役執行役員専務
KDDI
NTTドコモの星澤常務
vodafone
ボーダフォンのベナー業務執行役員

 最初にKDDI 取締役執行役員専務 全社技術担当兼技術統轄本部長の伊藤泰彦氏が,同社のモバイル戦略について語った。KDDIでは,過去1年間に個人契約者数の伸びが6%にとどまったのに対し,法人契約はその2倍以上にあたる14%の増加を見せたと説明。さらに,法人契約回線の中で,モバイル・ソリューションをセットで提供する割合も1年で11%から38%へと急増した成果を踏まえ,法人ソリューション分野が好調なことをアピールした。また,固定網と携帯電話の両サービスを提供している強みを生かし,ケータイと固定ブロードバンド網を融合させるFMC(fixed mobile convergence)を企業向けソリューションだけでなく,家庭向けサービスの中核にも据える方針を改めて強調。その基盤として,2007年度中に固定とモバイルの音声網を,すべてIPベースで統合する計画を説明した。

 2番めの講演は,NTTドコモ常務取締役 法人営業本部長の星澤秀郎氏。FOMAと無線LANのデュアル・モード端末「FOMA N900iL」を使ったモバイル・セントレックス・システム「PASSAGE DUPLE」と,スマートフォン・タイプのビジネス・パーソン向け端末「FOMA M1000」を中心に,法人向けソリューションを紹介した。PASSAGE DUPLEは,初期ユーザーで発生した不具合が解消され,本格的に導入拡大の時期になったと説明。FOMA M1000は「PDA(携帯情報端末)に携帯電話を付加した情報端末」という位置付けを強調し,法人向けシステムの端末としてアピールした。また2次元コードやiモードFeliCaを使って,携帯電話を現実の生活で活用できるようにする「リアル連携」への取り組みも改めて紹介した。

 最後に講演に立ったのは,ボーダフォン 業務執行役員 営業本部 法人営業統括部長 マイク・ベナー氏。個人契約では昨年は不調だった同社だが,法人契約の分野では大きな伸びを示したことを強調した。モバイルが労働生産性の向上に役立つことを,グローバル企業の同社ならではの海外の法人ソリューション事例などを通じて紹介し,法人分野に精力的に取り組む姿勢をアピールした。また,現状は20回線以上の契約が必要な同社のモバイル・セントレックス・サービス「Vodafone Mobile Office」については,近日中にSOHOなどの小規模向けに新しい料金体系のサービスを提供する予定を明かすなど,ビジネス・ソリューション分野でのユーザー獲得へ意欲を表した。

(三田 隆治=ライター)



5月19日~20日、サンシャインシティ文化会館(東京・池袋)で開催(日経BP社主催)。
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