無線ICタグの限界に挑戦、困難なCD/DVD管理に成功(第2回-1)笠間市立図書館
商談を降りるベンダー相次ぐ 清水氏は2001年から2002年にかけて、ICタグを先行導入した他の図書館を視察したり、ICタグ関連の展示会に参加したりして、情報収集に努めた。そして2003年春、ICタグや図書管理システムを手がけるベンダーに、先に挙げた3つの要件を実現すべく相談を持ちかけた。ところが、商談に応じたベンダー4社のうち3社は、「CDやDVDに直接ICタグを張り付けるのは無理と、最初から腰が引けていた」(清水氏)。メディアの表面にICタグを張り付けると、「CD/DVDプレイヤーで再生する際に誤作動する」というのが、ベンダーの主な言い分だった。 ところが清水氏は、かつて別の図書館に勤務していたとき、CDの表面にタトル・テープを張り付ける手法でゲート・チェックのシステムを成功させた経験があった。だからこそ、「チャレンジもしないうちからできませんでは、納得がいかなかった」(同氏)。 商談の席で「とにかく全力を尽くす。やらせてほしい」と手を挙げたのが内田洋行だった。ICタグの開発を指揮した山崎榮三郎氏(ユビキタス事業部IT図書館プロジェクト 部長)は、「どうしても実現したいという清水氏の熱意にこたえたかったから」と、受注したときの心境を振り返る。とはいえ、同社は受注した2003年3月時点で、CD/DVDにICタグを張り付けて正常に動作させる確信があったわけではない。図書館がオープンする2004年4月まで、残された時間は約1年。このプロジェクトの挑戦がスタートした。 毎日が試行錯誤の連続
CDやDVDにIDタグを直接張り付ける際に問題となるのが、メディアに含まれる金属成分である。「金属が電波を阻害するため、必要な通信距離が稼げない」(山崎氏)からだ。ゲート・チェックに利用する貸出確認ゲートの幅は約90cmある。最低でも、この距離で通信できることが必要条件だった。 手始めに、金属部を避けるという理由から、メディア中心部の透明な部分に直径約4cmのICタグ(既製品)を張り付けてテストしてみた(図2[拡大表示])。ところが「ICタグのアンテナのサイズが小さすぎたため、目標の通信距離に届かなかった」(同氏)。 小手先の技法では歯が立たないことを痛感した山崎氏は、ゼロからICタグを設計することを決意する。独Infineon TechnologiesのICチップ(周波数13.56MHz、メモリー容量320バイト)を基に、アンテナ(巻線コイル)の実装技術に長けた「日特エンジニアリング」(さいたま市南区)の協力を取り付けて開発に着手した。
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